「立教で箱根に行く」誘いに乗った有力選手たち
――当時高校生だった今の3年生世代の進路情報を見たとき、何人もの有力選手の進路先が立教大となっていて驚きました。
この学年が4年生になるときが、箱根駅伝100回大会なので大事だなと思って、強い選手に声をかけていました。
ただ、勧誘の仕方の右も左もわからなかったので、とりあえずは強豪校に行きました。普通は、実績もないのに、いきなりそこには行かないらしいんですけど……(笑)。チームの中でも強い選手に声をかけましたね。
だって、目の前ですごくいい動きをしているんですよ。なおかつ、強いし。そりゃあ、声をかけなきゃダメですよ!
――それで来てくれたんだから、すごいですね。
中山凜斗(3年)は九州学院高で、エースを争っていましたし、服部凱杏(3年)は中学チャンピオンで、いいものを持っている。2022年の日本選手権の3000m障害で8位入賞した内田賢利(3年)も、高校時代から3000m障害で活躍していました。
中山には思わず「本当にうちでいいの?」って何回か聞いた気がします。彼は「立教で箱根に行きます。立教を箱根に連れていきます」って言ってくれました。
――スカウティングの際には、どんなところを見るのでしょうか?
性格もありますし、どの距離に対応できるのかな、とか、そういったところでしょうか。
あとは、自分が立教で強くなりたいと素直に思ってくれて、すぐに決断してくれるのは一番うれしいですね。迷いに迷って最終的にうちに来てくれるよりも、「監督の指導を受けたいんで行きます」って言ってくれる子がけっこう多いんですよ。
うちは1500mの選手がすごく多いんです。スピードがある程度必要だと思うので、1500mに特化している選手に声をかけています。
あと、3000m障害の選手も多いですね。これは、別に3000m障害をやっているから声をかけているわけではなくて、走りを見て、この子は強くなるだろうなって思う選手に、たまたま3000m障害の選手が多いっていうだけだったのですが。
うちには1500mや5000mを突き詰めたい選手も何人かいるんですよ。確かに、箱根駅伝出場を名目に強化はスタートしていますが、箱根駅伝のためだけに学生をスカウトしているわけではありませんから。
まずは、いち陸上競技選手として魅力があるっていうことを伝えています。
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後編では、箱根駅伝出場を決めるまでの指導方法や選手の成長、そして本番での意気込みを聞いていく。
取材・文/和田悟志
撮影/岡庭璃子
編集/一ノ瀬 伸