昭和期バブルとは異なる今の「不動産バブル」
さらに長嶋は下図のような三極化が進むと予想している。
「厳密にいえば“三極化”。日本の不動産は『価格が維持・あるいは上昇する地域』『下落を続ける地域』『限りなく無価値・あるいはマイナスの地域』の三極化が進んでいる。そして、価格が維持されるエリア、あるいは上昇するエリアはほんの一部。つまり、大半の不動産は今後、価格が下落していくものと考えられる」
昨今の不動産価格高騰は「バブル」と称されることもあるが、昭和期のバブルとは様相が異なる。
2021年の新築マンション価格はバブル期を超え、高騰してもなお売れ行き好調といわれているが、2000年には全国で18万戸以上だった新築マンションの供給数も、10年後の2010年には半減以下の9万戸弱、コロナ前の2019年には約7万戸まで減少。現在の日本の土地総額は約1,000兆円だが、これもバブル期の半分ほどだという。
「昭和のバブル期も、全ての人が高額な不動産を購入できたわけではない。買えない人は、都市近郊エリアや郊外にまで手を伸ばして購入していた。だからこそ、全国的に不動産価格が上がった。しかし、今は高騰する物件は限定的。加えて、住宅ローンの金利も当時とは大きく異なる」
賃金が上がらない“失われた30年”を経た今、バブル期を上回る価格の新築マンションを購入できる理由は、歴史的な低金利にある。バブル期の住宅ローン金利は、7%以上。それに比べ、今は0.3%、0.4%で住宅ローンが借り入れできるうえに、住宅ローン控除で0.7%が戻ってくる。平均価格がバブル期を超えたからといって、今は当時の状況と全く異なるのだ。