注文住宅の購入者や、中古マンションを購入してリノベーションを考えている人にとっては、建材高騰に伴う住宅価格の値上がりだけでも大変だ。それに加えて、建材や設備がなかなか入荷されないために住宅が未完成のまま購入者に引き渡され、さらに建材到着後の工事でも水漏れなどのトラブルが起きるといったケースが増えているという。

住宅の建設現場で、今何が起きているのか。そして、「住宅」という一生に一度の大きな買い物で、建材・設備価格の状況を把握しながら支出を抑え、トラブルに巻き込まれないためにはどうすべきなのか。住宅診断士の田村啓氏に聞いた。

給湯器や食洗器は半年待ちになるケースも

まずは、住宅建材・設備といってもいろいろあるが、具体的にはどの部分がどの程度値上がりしているのか。

「ほぼすべての部分、といってもいい状況なのですが、建材だと木造住宅に使われる構造用合板(強度の高いベニヤ板)、設備だと半導体が使用されているトイレや給湯器、食洗器などが顕著です。値上がりしても手に入るならまだいいのですが、給湯器や食洗器などは納品まで半年以上待たなければいけないようなケースもあります。こうした各建材・設備の値上がりによって、建物代全体で約2~3割は上昇している状況です。価格上昇前の建物代が2000万円とすると、400~600万円程度の値上がりということになります」(田村氏)

現在は施工会社が値上がりした分を負担して住宅購入者への値上げ幅を抑えているケースが多いが、それも限界となれば今後はさらなる値上がりが見込まれるという。見積もりの段階では予算内だったのに、着工までの間に建材が値上がりして予算オーバーになる、といったケースも少なくないため、予算ギリギリで進めているとローンの返済計画が狂ってしまったり、建材のグレードダウンが必要となる場合もある。