スタジアムの「外壁全体がモニター」に⁉

とはいえ、さすがにすべてが完成予想図通りとはいかないまでも、8つのうち7つがサッカー専用のスタジアムで、急傾斜がつけられたスタンドからはピッチの眺めも抜群。むしろ12年前の計画が突拍子もなかっただけで、サッカー観戦には十分な施設が揃っていたと言っていい(その裏で、外国人労働者の過酷な労働環境が問題にもなったわけだが)。

例えば、ブラジルがクロアチアに敗れた準々決勝が行われた「エデュケーションシティスタジアム」。この会場周囲には、大学やコンベンションセンターなどの施設が作られていたが、それは当初からの計画通り。何よりスタジアムの外観が、12年前の資料に描かれた完成予想図とほぼ合致している、極めて稀なスタジアムである(12年前の資料でも、すでに「Education City Stadium」の名称で計画されている)。

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「エデュケーションシティスタジアム」の完成予想図
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実際の「エデュケーションシティスタジアム」

あるいは、日本対コスタリカの試合が行われた「アーマド・ビン・アリスタジアム」。このスタジアムは夜になると、外壁全体にその日の試合の対戦国の国旗が映し出されていたのが印象的だったが、実はこれも当初の計画に準じたもの(12年前の資料では、予定名称は「Al-Rayyan Stadium」)。

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色鮮やかな「アーマド・ビン・アリスタジアム」の外観

厳密に言えば、外壁全体がモニター画面となって試合映像などを映し出せるようになるはずだったが、さすがにそこまでは至らずとも、十分にインパクトのある外観だった。

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12年前の計画では、外壁全体がモニター画面となっていた「アーマド・ビン・アリスタジアム」

さらに言えば、ワールドカップで使用されたスタジアムの解体や縮小は実際に行われるらしく、そのひとつがドーハ湾岸に建てられた「スタジアム974」である。コンテナを活用した外観が独特で、大会中はその姿が人気を博した会場だが、それも今大会で見納めとなる。