笑顔と紙に印刷される写真という贅沢感が印象的
写真集『C'est la Vie』を観て、いち読者として、ひとつだけ選んでよいキーワードがあるとするなら、それは〝笑顔のチカラ〟だ。
ある写真では、10代の頃と変わらない広末さんの眩しい笑顔を見ているうちに、なぜだか自分までもがあの頃へと記憶がさかのぼり、ある写真では、どうすればこんなにも底抜けに笑えるのかと不思議に感じて、こっそりと真似をしたりもした。
そして、なにより笑顔の数の多さ。
『C'est la Vie』の掲載総カット数は126、その内訳として笑顔の写真は49〜57カットだった。その数に幅があるのは、最初は笑顔に見えなかったものが何度目かには笑っているように感じられたり、笑顔だと思っていた写真がある瞬間には哀しくも見えたり、ページをめくる度に発見があったからだ。
彼女自身が考える笑顔のチカラについては、初のエッセイ集『ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』の中でも<この世で一番すてきなことは笑うことだって本気で思います/オードリー・ヘップバーン>と大女優の名言を綴っている。
本という言語表現でも、写真集というビジュアル表現でも、共通テーマのひとつであった〝笑顔〟について、ハニカミながら、広末さんが話し始める。
「じつは今日はじめて、色校正という実際の紙に印刷されたもので全部の写真を見せてもらったんですけど、ふたつのことを思いました。
ひとつは完全に手前味噌なんですけど、なかなかいい笑顔をしてるなって(笑)。『ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』でも書かせてもらったんですけど、笑顔って連鎖反応するものだと私は感じていて。
小学生の時だったかな。自分が笑っていればみんなも笑っていることに気づいて、大発見だと思ったんです。だから、この写真集でこれだけ私が笑っていると見てくれる方もちょっとは笑ってくれるかなって思ったんです。
もうひとつは、紙に印刷される贅沢感を思い出させてもらいました。写真だって。スマホで見るものとはやっぱり違っていて、美しかったんです。自分のことよりも写真を見てもらえるなって。それがうれしかったです」