21世紀の日本とアメリカで公開された
二つの映画がフィーチャーした『リンダ リンダ』

さて、そんな成長著しき超若手バンドだが、僕のようないい年こいたニッポンのパンク系オヤジが、まず「ムムム」と注目するポイントはというと、そのバンド名だろう。

「“リンダ リンダ”って、もしや?」
とググってみると、平均年齢15歳のLA発ガールズパンクバンドだという情報がまず出てくるので、「あ、やっぱりただの偶然か。まさかね」と思うかもしれない。
でも、そのまさかの方なのだ。

ザ・リンダ・リンダズのバンド名は、日本の名曲『リンダ リンダ』にちなんで付けられた。我らのザ・ブルーハーツが、1987年のメジャーデビュー時に発表した曲だ。
彼女たちはバンド活動を始めようとしていた頃、たまたま2005年公開の日本映画「リンダ リンダ リンダ」を鑑賞。
ブルーハーツの楽曲が多数フィーチャーされているその映画から『リンダ リンダ』の存在を知り、強いインスピレーションを受けたのだという。

時を超えて聴かれ継がれ、海を越えて歌い継がれる名曲『リンダ リンダ』のすごさとは_3
映画「リンダ リンダ リンダ」

彼女たちのブルーハーツへの想いは本物らしく、前述の初来日サマーソニック公演では、日本のファンに向けて『リンダ リンダ』のカバー演奏も披露している。

発表から35年も経過しているというのに、『リンダ リンダ』はまったく衰えぬパワーを保つ、まさに神曲だ。
2021年に公開されたNetflixオリジナルのアメリカ映画「ミックステープ 伝えられずにいたこと」でも、『リンダ リンダ』が重要なシーンで使われている。

時を超えて聴かれ継がれ、海を越えて歌い継がれる名曲『リンダ リンダ』のすごさとは_4
映画「ミックステープ 伝えられずにいたこと」

この映画は、亡き両親の面影を追う12歳のアメリカ人少女ビバリーが、存命中に両親が作ったミックステープに収録されていたはずの曲たちを、探し求めていくという内容。
どうやらバリバリのパンクスだった両親の残したインデックスカードには、ビバリー世代にはなじみの薄い数々のマニアックなバンドの曲のタイトルがしたためられているのだが、頭から2番目にはなんとブルーハーツの『リンダ リンダ』が……。
これ以上はネタバレになるので、みなさんどうぞNetflixで見てください。

ビバリーがウォークマンで初めて『リンダ リンダ』を聴くシーンは秀逸だ。
僕が17歳の頃に初めて『リンダ リンダ』を聴いたときも、きっとこんな顔をしていたのかもしれない。