子供が生きやすい社会にするために

必要なのは財源と言いましたが、一番難しいのが財源の話です。日本は低負担中福祉国家であり、そもそも低負担なのですが、それでも体感としては多くを負担していると感じる人がほとんどです。

子育ては罰ゲームなのか?「親ペナルティ」をなくすために日本社会が向かうべき先とは…_03
出典:財務省 国民負担率(対国民所得比)の国際比較(OECD加盟36カ国)

その中で、仮に多くの人にさらに負担をしてもらう場合、やはり納得感がないと実現できないのではないでしょうか。

そしてソロ活という言葉もあるとおり、一人を楽しむライフスタイルも定着しています。もっと言えば、自分一人の人生を生きるのに必死な人もいます。

いろんな生き方ができる現代において特定のライフスタイルの人たちを支える制度を実現するのは難しいことです。それでも今日生まれる子供が生きやすい社会にするために、子育て支援は必要なことだと筆者は考えています。

経済学では「合成の誤謬(ごびゅう)」という言葉があります。これは個人が正しいと思って行動したことが、全体にとってはマイナスになることがあるという意味です。

また社会保障というのは次の世代があってこそ持続できるものであり、子供のいない人も含めてすべての人にとって子育て支援は重要なことです。子育て支援含む社会保障の話では、自分が割を食うのは納得いかないという意見が多く出ますが、それが結果的に自分に返ってくるという点では、まさしく「合成の誤謬」ではないでしょうか。

子育て支援の大切さを子供のいない人たちにまで理解してもらうこと、そのための負担増が自分にも関係することだということを伝えること。そうして納得してもらうことが子育て支援を進めるために重要なことではないでしょうか。

文/井上ヨウスケ