漫画以外の原作にもチャレンジしたい
――宣言せず原作者にシフトするやり方もあったと思いますが、あえて宣言した理由は?
イラストレーターとしてはまだわかりませんが、漫画家として絵を仕事にするつもりはもうないんです。こうして対外的に原作者になると宣言することで得られる仕事もあると思いますし、進退の表明は悪くない選択だったと思います。あとサカイさんから「やっぱり絵も描きましょう」と言われないためという面もあります(笑)。
――原作者として、漫画以外のジャンルも手掛けたいという思いはありますか?
めちゃくちゃあります。アニメや小説、ゲームもそうですし、やれるものは全部チャレンジしてみたいと思っています。実は、もうすでに動いているものもあります。
――今後準備している作品の構想やジャンルを教えてもらうことはできますか。
三方向あって全部違います。今、僕が想定しているのは、ハイファンタジー、ラブコメ、グルメです。
――2020年、ヤングジャンプのラブコメ漫画賞審査員を務めた際に「漫画って絵が描けなくてもいいんじゃないかと思う」とコメントしていますね。
あれは漫画家を目指す人へ「絵が下手でも漫画家になれる」とアドバイスしたかったんです。僕自身、自分を絵が描けない側の人間だと思っていますが、描けなくても漫画家になれました。
そもそも漫画の絵って、上手い下手よりも完成度。そこが高ければ商業誌に載れると思っているんです。
ーー上手さではなく「完成度」とはどういうことでしょう?
絵が雑に見えないことです。たとえばデフォルメチックな絵柄だったら、デッサンがとれてなくても何も言われないし、意外と粗が目立たない。そういう方法もあるよと示したかった。
絵が描けなくても、うまくなくても漫画をとりあえず描いて、周りの反応次第では原作者の道に進むのもいい。
世の中には、絵がうまい人が数多くいます。一方で、ストーリーを描きたいという人が漫画業界には少ない。ストーリーを作るのが楽しいという人にもっと出てきてほしいんです。