エピソードトークを本気でさえぎるヤバさ
――とはいえ、『アメトーーク』の「ナダル・アンビリバボー」(2016年9月1日初回放送)でナダルさんのキャラクターが大きく世に知られたときは、世間からの風当たりはきつかったのでは?
やっぱり最初はすごい嫌われてましたよ。「ナダル・アンビリバボー」は6回くらいやったのかな?
1〜2回目はハンパない量の誹謗中傷がありました。
――どんな反応だったんですか?
「マジでやばいな」「これテレビに映していいのか?」みたいな感じでした。多分、見たことない笑いやったんやと思います。
エピソードトークをさえぎるのって、普通は「いやいや」言いながらも最後まで言わせるじゃないですか。それをほんまに断固として言わさへんって、それまでなかったと思うんで。
それと、先輩の悪口じゃないですけど「さんまさんの笑いはようわからん」なんて今まで言った人がいなかったから、最初は「何言うてんの」ってなりますよね。
だから拒絶の反応が大きかったです。今は浸透して、落ち着きましたけど。
――視聴者がナダルさんに見慣れたことで落ち着いた。
そうですね。これもまた難しいところなんですよ。見慣れてきたら「ナダルやったらそれぐらい言うやろな」になってしまう。そこもやりながら、さらにそれを超える笑いをせなあかん。「ナダルはこういう位置でこういう使い方をする」ってだけじゃなくて、ちゃんと仕事の幅を広げようと考えてます。
――こうしてお話をうかがっていると、テレビから受ける印象とはだいぶ違うと感じます。すごく真面目ですよね。
そうですね。だから相方が羨ましいです。スベろうがスベらなかろうが関係なしでいられるんですよ。僕もそうなりたいと思ってメンタルづくりをしてるんですけど、持って生まれたものなのか、なかなか難しいです。
でもその分、毎回「こうしたらもっと面白かったのに」とか考えることができるんですよね。しんどいですけど、課題を持つことができる。本当は持ちたくないし楽して生きたいですけど、そうやって考え続けるという意味では、小心者であることは必ずしもマイナスではないどころかプラスに働くこともあると思います。何も気にしなかったらそこで終わってしまいますから。
撮影/松木宏祐 取材・文/斎藤岬