「ナダルやったらそれぐらい言うやろな」のその先へ
――ナダルさんの同期の滝音・秋定さんが「俺、“笑えへんナダル”ってよく言われる」とちょくちょく発言してますよね。「笑えへんナダル」って、わかる気はするけれど実際どういうニュアンスなんだろう? と思っていて。
はいはい。秋定くんに関しては、まだ「ほんまにヤバいな」ってガチっぽく見える部分があるんでしょうね(笑)。僕も昔は本当にめちゃめちゃヤバかったと思います。ただ、先輩方がそこを笑ってくれたことで、「あぁ、これを笑いにしていいんや」と気づかせてもらったところが多々あるんですよ。
――ナダルさんはもう本当にヤバくはない?
最初は笑かし方なんてわからないじゃないですか。たとえば舞台で、みんながボケてボケてボケて積んでいって、自分も絶対ボケなあかん流れなのに「こないだこういうことがあって、それで僕は〜〜」ってただ自慢したいだけの話をしたりしてしまってたんです。
いいように見られたくて、思うがままにやってしまっていて。でもそういうときに先輩たちが「なんの話なん!?」と面白がってくれたんです。そこから「これしたら笑ってもらえんねや、ほな自分でもうちょっとお笑いっぽくしてみよう」と考えられるようになって、わざと変則的にやったりできるようになりました。
――怒られたりはしなかったですか?
直近の先輩たちが優しかったのは大きいですね。少し上の世代の先輩は厳しかったんで「お前が流れを全部台無しにしてんで」みたいに言われることもあったんですけど、一度、コマンダンテの安田さんが「ナダルはそのままでええよ。それは絶対お前の武器になっていくから、ずっとそのままやっていったらいいよ」と言ってくれたんです。それにはすごく救われました。
――同じように「なんだこいつ」と思われていても、一般社会ではなかなか指摘されなかったり逆に否定ばかりされたりで、そのまま嫌われるだけになってしまう人もいると思います。
そうですね。肯定してくれる人も否定してくれる人もいた結果、今「こういうやつなんやな」と思ってもらえてる。厳しく言われたことでマイルドに修正できたところもあったから、言ってくれるのもありがたいし、安田さんみたいに肯定してくれる人がおらんかったらまた全然違うやつになってたかもしれない。
ほんまにいいバランスで劇場で過ごさせてもらったのかなと思います。