フランスの地方新聞は大会を「ボイコット」
2022FIFAワールドカップ・カタール大会は、2010年の開催決定以来、首都ドーハやその郊外で道路の拡幅と鉄道敷設、会場や宿泊施設の建設など、大会実施に関わる様々な大規模工事が続いてきた。
そして、その作業に従事した数千人の移民労働者たちが劣悪な労働の結果、命を落とした。国別の移民労働者死者数などについては、2021年2月23日付の英紙The Guardianで詳細に紹介されている。
そしていよいよ11月末の大会開催が近づくにつれ、この問題に対して各国代表チームやメディア等が次々と批判や抗議の意志を表明しはじめている。
たとえば、フランスの地方新聞は、大会を「ボイコット」して記事をいっさい報道しないと発表。同じくフランスでは、パリやマルセイユ、ストラスブールなど8都市が、ビッグスクリーンで多くの人々が観戦するファンゾーンを設置しないと決定した。
また、デンマークのスポーツブランド・ヒュンメルは、同国代表のユニフォームデザインを地味なものにし、サードキットのカラーに黒を採用することでカタールへの抗議を表明する、と発表した。
デンマーク代表はさらに、今回の大会参加に際して、通常なら行動を共にする家族を帯同せず、選手たちが単身で現地へ遠征に赴く、とも明らかにしている。このデンマーク代表チームのキャプテンは、多様性やLGBTの人権を象徴するレインボーカラーを配し〈One World〉と記した腕章を着用することも表明しており、イングランド代表キャプテンも同様の腕章を使用するという。
イギリスの有力紙The Guardianは、論説記事でこの問題を詳細に論述し、イングランドサッカー協会(FA)がようやく重い腰を上げて移民労働者の死亡・労働補償をFIFAに働きかけるようになったと報告した上で、そのFIFAに対して「体裁を取り繕うのではなく、いまこそ行動するときだ」と強く呼びかけている。
また、同じくイギリスの有力紙Telegraphも同様に、FA(イングランドサッカー協会)は行動を起こすまでになぜこんなに時間がかかってしまったのか、と批判する論説をサッカー担当の主任記者が執筆している。