アパレルメーカーと「一緒に開発」

そんなGORE-TEXプロダクトがユニークなのは、たとえばアパレルメーカーがこの生地を使うプロダクトを企画したとき、その段階から「一緒に開発をする」という点だ。

一般的な生地メーカーは、いわば「卸して終わり」。しかし、ゴア社は開発段階でアパレルメーカーのチームに加わり、プロダクトに最適な生地の提案や、つくりのチェック、そしてプロダクトの試作品ができればその機能のテストまでを行う。

今、あの特徴的なGORE-TEXブランドのマークがついたアパレルやシューズは、こうしたフローを経て、世に出たものなのだ。

「『体を濡らさないことが誇り』と申し上げたように、せっかくGORE-TEXファブリクスを使っても、たとえばそもそものデザインが、中に水が入ってしまうようなものになっていたら、意味がありません」(伊藤さん)

実際、新規のファッションブランドとの取り組みは、デザイン面と機能面が折り合わず、話がなかなか進まないこともあるらしい。一方、コラボを重ねてきた老舗アウトドアブランドなどとのプロダクトは、そのデザインと機能への信頼感ゆえに、常に人気を博している。

「GORE-TEX=高機能」というイメージは、これほどに徹底したブランドマネジメントにより浸透していったと言える。また、GORE-TEXファブリクスを使ったプロダクトの価格帯がやや高めであることも、こうした事情を聞けば頷ける。

宇宙服や人工血管にも素材を活用。高性能な「GORE-TEX」衣料は自宅で気軽に洗うべし_4
GORE-TEXプロダクトは、開発段階からゴア社がメーカーと共同で取り組み、徹底した品質管理のもと世に送り出されている

そして2018年からは、必ずしも防水ではない「GORE-TEX INFINIUM」シリーズも開発。これにより、使うアパレルメーカーのデザインの自由度が高まっているという。

「たとえば、天気がいいときに軽く羽織るアウターなどは、優れた防水性よりも、防風性、透湿性と、ある程度の耐水性があれば、軽量で取り扱いが簡単なほうがいいということもあり得ます。消費者のさまざまなニーズに応えるため、弊社としても、生地の選択肢を増やしているところです」

一方で、伊藤さんは「GORE-TEXプロダクトは難しくない」とも言う。GORE-TEXプロダクトテクノロジーには、それぞれ豊富な情報量があるものの、消費者側はあくまで「自分のニーズや目的に合った商品を試してもらえればいい」からだ。

そして2018年からは、必ずしも防水ではない「GORE-TEX INFINIUM」シリーズも開発。これにより、使うアパレルメーカーのデザインの自由度が高まっているという。  「たとえば、天気がいいときに軽く羽織るアウターなどは、優れた防水性よりも、防風性、透湿性とある程度の耐水性があれば、軽量で取り扱いが簡単なほうがいい、ということもあり得ます。消費者のさまざまなニーズに応えるため、弊社としても、生地の選択肢を増やしているところです」  一方で、伊藤さんは「GORE-TEXプロダクトは難しくない」とも言う。GORE-TEXプロダクトテクノロジーには、それぞれ豊富な情報量があるものの、消費者側はあくまで「自分のニーズや目的に合った商品を試してもらえればいい」からだ。_5
防水性よりも快適性とパフォーマンスを優先する「GORE-TEX INFINIUM」。通常のGORE-TEXプロダクトシリーズと異なり、白いブランドタグが特徴(写真右)