1年間で倍増したレンタルビデオ店!
1988年の日本映画配給収入ランキングをみると、『敦煌』(1988/日中合作)が1位で、2位『ラストエンペラー』(1987/英中伊合作)、3位『ランボー3 怒りのアフガン』(1988/米)、4位『優駿』(1988/日本)、5位『危険な情事』(1987/米)と洋画に元気がない。『ロボコップ』や『フルメタル・ジャケット』『ウォール街』『太陽の帝国』『再会の街』『さよならゲーム』と、この年のラインナップは必ずしも悪くないが、老若男女にあまねくアピールする作品は少なかった。
その一方、「ロードショー」には1月号に「VIDEGON」という新コーナーが登場する。最新ビデオソフトを紹介するもので、レンタルビデオの普及に対応したものだ。
現代の若い読者には想像できないかもしれないが、かつての映画ファンは、旧作を見たければ、リバイバル館に行くか、TV放映を待つしかなかった。だが、ビデオデッキの登場とレンタルビデオ店の台頭で、家庭でも多様な映画作品を鑑賞できるようになったのだ。
日本映像ソフト協会(JVA)の資料によると、同団体の加盟店は1987年12月には4,748店舗だったのが、1年後の1988年12月には10,067店舗に倍増している(ピークは1990年の13,529店舗)。バブル景気でビデオデッキの世帯普及率が高まったことも影響しているだろう。
https://www.jva-net.or.jp/report/joiningshop.pdf
おそらく初めてレンタルビデオ店を訪れた当時の映画ファンは、その選択肢の多さに興奮を覚えつつも、圧倒されてしまったに違いない。そんな迷える読者たちのために、ロードショーはビデオ紹介コーナーを始めたのだ。もはや映画を提供する場所は、劇場やテレビだけではない。そんな時代の流れに軽やかに適応した「ロードショー」は見事だ。「VIDEGON」という名称はどうかと思うけれども。