「ジェネリック」路線を行く韓国製兵器
先にあげたFA-50はすでにフィリピン、イラク、タイ、インドネシアでも採用されている。また、ポーランド、トルコ、インド、エジプトなど8カ国が採用する韓国製の「K9自走砲」にも世界の熱いまなざしが注がれる。
南北軍事境界線付近に実戦配備され、最大射程40キロ、1分間に6~8発の発射能力を備える「K9自走砲」は火力、機動性、防御力がそろった武器として高い評価を受けており、今年4月にはノルウェー、フィンランド、エストニア、豪州などの各国視察団が韓国内の製造工場を訪れた。
その他にもアラブ首長国連邦が迎撃ミサイル「天弓2」(22年1月・35億ドル)を購入契約、タイやインドネシアが護衛艦、潜水艦の購入を検討するなど、韓国製武器の人気は高まる一方だ。
ストックホルム平和研究所の最新データによれば、2017〜21年の韓国の武器輸出額は世界8位で、この7年間で177%の伸びを見せている。輸出額ベースでも昨年時点ですでにすでに70億ドル(約1兆円)に達した。このまま韓国の武器輸出が順調に推移すれば、その商談実績はさらに伸びることは確実だ。
ウクライナ侵攻による経済制裁もあって、現在世界シェア2位(1位は米国)のロシアの武器輸出は今後、減速することが予想される。そのシェアを奪うかのように、このタイミングで韓国が旧東欧諸国の武器市場に参入できたのは、韓国製武器が西側兵器体系であり、かつコスパがよいという条件を満たしていたからだ。
米国製武器が高価な新薬だとすれば、韓国製武器は効能が同じで価格の安い「ジェリック」薬品にたとえられるだろう。また、コスパや性能だけでなく、操作性のよさや購入後のサポートの充実ぶりも韓国製武器のセールスを後押しする。
韓国軍の装備は徴兵による運用を前提としており、訓練熟度の低い兵士でも比較的簡単に操作できるよう設計されているため、他国の軍隊も運用がたやすいのだ。また、韓国政府が軍需ビジネスを輸出産業に育成しようと強力にプッシュしていることも見逃せない。
国家主導による柔軟なライセンス生産、納入後の手厚いサポート体制の整備などがセールスポイントとなり、韓国製武器輸出にさらに拍車をかけている。