変換精度以外にも注目ポイントはいろいろ

自動文字起こしツールを選ぶ観点は、変換精度だけではない。続いては、それぞれのツールの長所と短所をまとめていこう。

まずCLOVA Noteは、なんといっても無料で使えるのが大きい。また、音声ファイルを読み込んだとき、解析の時間がずば抜けて速かった。さらに、声を分析して「参加者1」「参加者2」といったように切り分けを行なってくれるが、その精度も高かった。WEBブラウザ版のインターフェイスもすっきりしていて使いやすく、多くの人におすすめできるツールだ。

最強の「自動文字起こし」ツールはコレだ! ベテラン編集者が全力で推す3選_07
音声ファイルをドラッグ&ドロップでアップロード。解析の時間はかなり早く、1時間の録音データもわずか1分ほどで解析が完了した
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話者ごとにアイコンがついていてわかりやすい。重要な発言に「ブックマーク」を追加すると、後で見つけやすくなる
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アイコンの横に表示される話者の名前を付け替えることが可能。1カ所だけ変えれば、全体を一括置換することが可能だ

Nottaは、聞き取りにくい部分も処理を試みてくれるため、抜け落ちが少ないのがメリット。WEBブラウザ版のインターフェイスもすっきりしている。さらに、YouTubeなどの音声も翻訳できるGoogle Chrome機能拡張やビデオ会議用の文字起こしツール、外国語の翻訳機能など豊富な機能を搭載している。これらの機能に魅力を感じる人ならNottaがおすすめだ。

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スッキリとしたユーザインターフェイス。NottaのWEBブラウザ版は音声ファイルの読み込みだけでなく、録音しながらリアルタイムで文字起こしを行うことも可能
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ビデオ会議に録音用のBotを参加させ、自動で文字起こしをしてくれる「Notta Bot」の機能もある
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Google Chromeの機能拡張。WEBブラウザ上で再生されている音声を収録し、文字起こしを行なってくれる。外国語を日本語に翻訳する機能もある(スマホアプリ上で利用可能)

Word Onlineは、文字起こし専用ツールというわけでないため、インターフェイスは少しわかりにくい。また、出来上がった文章が細切れになりやすく、内容を把握しにくい点もデメリットだ。しかし、聞き取りにくい部分の変換精度が高く、かなり頼りになる。Microsoft 365の加入が前提になるが、企業がMicrosoft 365のグループ版を導入しているなら、個人で契約しなくてもこの機能を利用できる。対象となる人は案外多いのではないだろうか。

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あくまでもWordの機能の1つ。Word Online自体はMacのSafariなどでも使えるが、文字起こし機能が使えるのはMicrosoft EdgeとGoogle Chromeのみ
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画面右側のパネルからファイルのアップロードを行う。少し前まで300分/月のアップロード上限があったが、本稿執筆時では無制限になっている
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分析が行われた後、右側パネルの下にある「ドキュメントに追加」ボタンを押すことで文書に挿入される。文書はクラウドに保存され、後から音声を聞き直すことも可能だ

こうしたツールごとの違いを踏まえ、自分にとって一番の自動文字起こしツールを見極めてみよう。筆者の場合、インタビューの内容をざっくりと振り返るときにはCLOVA Note、対談原稿の作成のために丁寧に言葉を拾いたいときはWord Onlineを使っている。また、Google ChromeにはNottaの機能拡張をインストールして、WEB動画の全体像をサッと把握したいときに活用している。このように、目的に応じて複数のツールを使い分けるのもいいのではないだろうか。

おすすめの運用方法

最後に、文字起こしツールのワンポイントアドバイスを一つお伝えしておこう。

録音と同時にリアルタイム変換が可能なツールもあるが、それでも後で音声データをアップロードする方法のほうがおすすめだ。通信状況の悪化やサーバトラブルが原因でアップロードや変換が完了しない場合があるからだ。元の録音データがなくなってしまっては元も子もない。

録音時はあまり余計なことを考えず、確実に録音できる環境の確保に努めるのがいいだろう。

文/小平淳一