ハリウッドのヒットメーカーたち
ジェニファー・コネリーの『ラビリンス 魔王の迷宮』、フィービー・ケイツの『グレムリン』、リー・トンプソンの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と『ハワード・ザ・ダック』(1986)。これらの製作総指揮に注目すると、彼女たちの人気の秘密が分かる。
『ラビリンス 魔王の迷宮』と『ハワード・ザ・ダック』の製作総指揮はジョージ・ルーカス、『グレムリン』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグ。つまり、彼女たちは80年代の2大ヒットメーカーが手がける映画のヒロインに起用されているのだ。
ルーカスフィルムとは、『スター・ウォーズ』を手がけるためにジョージ・ルーカスが立ちあげた製作会社だ。『スター・ウォーズ』と『インディ・ジョーンズ』という2つの看板シリーズに加えて、『ラビリンス 魔王の迷宮』や『ハワード・ザ・ダック』『タッカー』(1988)『ウィロー』(1988)といった作品に挑戦している。
盟友スピルバーグ監督も1981年に自身の製作会社アンブリンを、フランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディというふたりのプロデューサーと共同で立ちあげた。『E.T.』などの自身の監督作に加えて、『Oh!ベルーシ絶対絶命』(1981)『ポルターガイスト』(1982)『トワイライト・ゾーン 超次元の体験』(1983)『グレムリン』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『グーニーズ』(1985)『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』(1985)といったエンタメ映画を量産。映画界の仲間や若手に率先的にチャンスを与えていった。
一番弟子といえば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をきっかけに、その後、『フォレスト・ガンプ 一期一会』(1994)や『キャスト・アウェイ』(2000)などのヒット作を手がけるロバート・ゼメキス監督だが、クリス・コロンバス監督の存在も忘れてはいけない。彼は、脚本家として『グレムリン』『グーニーズ』『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』といったアンブリン作品を執筆。その後、映画監督デビューを果たし、『ホーム・アローン』(1990)や『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)などのヒット映画を手がけている。
ちなみに、この時期のスピルバーグ監督はアンブリンのエンタメ作品を製作総指揮として支えつつ、自身は『カラーパープル』(1985)『太陽の帝国』(1987)といったシリアスな映画に挑戦していた。ヒットメーカーが自在に作品を放ち続ける、80~90年代のハリウッド黄金期が到来したのだ。