自身の包茎手術も自分でやった

大学院に進学して時間の余裕もできたころには、修行の甲斐もあり、飛躍的なスキルアップを果たした井上先生は「性器形成」の世界へと魅せられ、より明確に軸足を「下半身」へと移していきます。

そして「自分でクリニックを開設したい」という想いが急速に膨らんでいきました。

己の仮性包茎を自ら手術。エリート医師が下半身を実験台にしてまで進んだ性器形成医療の道_5

「総合美容外科クリニックでも勤務医として働いていました。しかし、そこでは性器形成が“ついで”でしかありませんでした。顔はガッツリできますけど、陰部もできなくはないですよ......みたいな。だから、自分で性器形成専門のクリニックを開きたくなったのです。 

たとえば、『包茎手術』を宣伝文句としているクリニックは、日本中あちらこちらにあります。ただ、その手のクリニックは、バイト医などが片手間で施術していることもあるんですよ。ちょっと切ったり縫ったりができる程度の出稼ぎ気分な医者を雇っている。
正直、そこまで難易度の高い手術ではないぶん、逆に技術もあまり優れていない。もちろん、専門でしっかりやられている先生もたくさんいらっしゃるのですが、実際のところは『片手間=ついで』といったポジションなんです」

そんな現状を憂いたのか、井上先生は自らの技術を高めるために、あることに挑みます。なんと、自身の包茎手術も局部麻酔を使用して自分でやってしまったのです! まるでブラックジャックさながらの、凄まじいエピソードです。

己の仮性包茎を自ら手術。エリート医師が下半身を実験台にしてまで進んだ性器形成医療の道_6
veary clinicの手術室

「自分を練習台にするという感覚もありました。かつては僕も仮性包茎だったので、包茎で悩む男性の気持ちはとてもよくわかるんです。同時に、ちまたのクリニックの包茎手術事情も熟知していたので、他人に任せることができなかった。少なくとも僕が知っている範囲で、自分の性器を安心して任せることができるドクターもいなかった。客観的に『自分が一番上手いな』と思ったので、手術に踏み切ったわけです」

このようなもはやエキセントリックなまでに一つのことへとのめり込む性格と、尋常ではない行動力をバックボーンに、井上先生は今年の1月に『veary clinic』を開院。そして、そこを訪れるのは……驚くべきことに女性が圧倒的に多いのだそうです。次回は、日進月歩に目まぐるしい進化を遂げる「性器形成」の実態とそのメカニズムについて、詳しく紹介してみましょう。

包茎手術だけじゃない。亀頭増大に名器形成…専門医が語る下半身リメイクがもたらす大きな効用 はこちら

取材・文・写真/山田ゴメス

veary clinic(ヴェアリークリニック)
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