なぜ、テレビに出られないのか
ーープリティ太田さんがデビューして、こびとプロレス界としては盛り上がりましたか?
当時、こびとレスラーがひとりしかいなかったので、こびとプロレス自体が開催されていなかったんです。僕が入ったことによって復活して、対戦相手のミスター・ブッダマンさんと2人で、18年やってきました。僕が入って以降は、こびとレスラーは入ってきていないです。
ーー18年もの間、2人で戦い続けている。続けられたのはなぜですか?
僕がいなくなったら、こびとプロレスがなくなるからです。とにかく僕とブッダマンさんがやれている間に、ひとりでも入ってくれたらなんとか持ちこたえられると思うんで。体がもつ限りやってやろうと。
ーーそこまでしてこびとプロレスを守りたいのは、どうしてなんですか。
最初はそこまで思わなかったんですが、だんだんと日本のこびとプロレスの重要さがわかってきました。僕ひとりで他団体に出させてもらうこともありますが、小人というキャラクターが欲しい場面もあるんです。
もちろん偏見をなくしていくために、との想いもありますが、そもそも海外のプロレスにはこびとレスラーがめちゃくちゃ出ているんです。アメリカ、特にメキシコは強いです。一般のレスラーよりもこびとレスラーのほうが人気があったりもします。スピードが他のレスラーとは違って、速いんですよ。技の入り方も見事で。それに魅了されるんじゃないですか。
ーー偏見をなくすために意味がある、という点についてもう少し説明していただいてもよろしいですか。
僕らはこびとプロレスを見ていて普通に面白かった。なのに、それを「面白い」と言っちゃいけないというのが、本当によくわからないんです。「かわいそう」って偏見じゃないですか。
今はテレビもコンプライアンスが厳しくなってしまいましたけど、そうした偏見をなくして、僕たちも当たり前のようにテレビに出られるようにしたい。プロレスもそうですけど、やっぱり普通に僕らがテレビ業界に出られることが、一番の起爆剤になると思うんです。
ーー海外の作品にも小人症の方が出てくるものは多いですよね。映画『ロード・オブ・ザ・リング』とか。
そうです。普通に出てるじゃないですか。小人症の人が、当たり前のように。海外はすごいなと思いますよ。
ーー「小人症の人を出すな」みたいな空気ができてしまうと、結局、困るのは小人症の人だと。
僕に言わせれば、「こびとを出すな」という時点で差別でしょう。なんとなくの善意じゃないですか。だから僕はそういう人たちを「偽善者」と言っているんです。