すべての保護猫に幸せになってほしい
池崎さんが、風ちゃん雷ちゃんを迎えた「猫の森」は、飼い主がいない猫を救助、保護、里親探しをするNPO法人。飼育崩壊の現場から助け出されたり、野良猫だったところを保護されたりと、人慣れしていない猫も多いという。池崎さんは、忙しい仕事の合間を縫って、ボランティアに通っている。
――風ちゃんと雷ちゃんは保護猫施設で産まれたので、つらい経験はしていないんですよね。
そうですね。どっちもお母さん猫は野良猫なんですけど、雷ちゃんは、お母さん猫が妊娠中に保護されて施設で出産したそうですし、風ちゃんのお母さん猫は出産直後に保護。生後すぐから保護猫団体のスタッフさんに愛情をかけて育ててもらったので、うちの2匹は最初から人間大好きでした。
――でも、人間の愛情を知らない猫もいるわけで、そういう猫たちと初めて接したときの印象はどうでしたか?
それまでは保護猫団体の存在すらよく知らなかったので、けっこう衝撃でした。2、30匹の猫がケージにいて、見知らぬ人が入って来たら「シャーッ」って威嚇してくるんです。そして、人間をまったく信用していない目をしてますよね。
特に飼育崩壊のところから救出したコはその傾向が強い。僕もまだ映像でしか現場を見たことがないんですが、本当にひどいですから。人も猫も、暮らせるような状態じゃないんです。
――でも、時間と手間と愛情を注げば変わってくる?
そうなんですよ! 僕は多くても月に数回しか行けないけど、だからこそ、行く度に顔が穏やかになっていくのがわかるんです。手を出すと「シャーッ」って言いながら本気で猫パンチしてきていたコが、次に行ったら手加減した猫パンチになってたり(笑)。ある程度慣れてきたら「預かりボランティア」のお宅で更に人慣れさせてから里親さんのところへ、というのがひとつのプロセスですね。
――池崎さんは、具体的にどういった形のボランティアを?
主に保護猫部屋の掃除やフードの用意です。僕は月に何度かお手伝いさせてもらうだけですけど、毎日やっている方々には頭が下がります。
預かりボランティアやミルクボランティア(生まれてすぐに保護された子猫にミルクを与え離乳まで育てるボランティア)も経験させてもらいましたけど、どのコも幸せになってくれればいいな、と心から思っていますね。だってみんな本当にかわいいコたちだから。