チャットの文面から想像力を働かせる

顔が見えないチャット上でのコミュニケーションは気軽にできる反面、相手がどんなことに悩んでいるのか、どんな感情でいるのか、すぐにはわからないこともあるだろう。また、10代の子どものなかには、まだ自分の気持ちや悩みを上手に言語化できない子も多いはずだ。

相談を受ける際は、どんなことに気をつけているのだろうか。

「『あなたのいばしょ』では、相談者に対する『傾聴』を常に心掛けていますね。まずは『ここへ相談しに来てくれてありがとう』という感謝を、相談者に伝えます。そして、とにかく話を聞き、肯定し、承認する。リアルな対面のコミュニケーションだと、そういったやりとりは照れもあってなかなか難しい面がありますが、チャットだとそういうことがあまりありません。

悩みを解決するためのアドバイスではなく、我々ができることを提示していって、相談者と一緒に考えていくようにしています。

意識しているのは、想像力を働かせること。一方的に決めつけず、チャットの文面や相談者とのやりとりから得た情報のなかから正確に想像していく。相談者に寄り添うことはもちろんですが、問題解決を目的としているわけではないので、『ここへ来れば何でも話せる』という気持ちを持ってもらえるように接しています」

「死んじゃだめ」と言うより大切なこと。悩める10代に寄り添う、無料相談チャット運営者の思い_2
顔が見えないからこそ、相手が何に悩んでいるのか想像力を働かせる(画像/NPO法人あなたのいばしょ)
すべての画像を見る

チャットツールの相談は一回40分までだが、一度きりしか相談ができないわけではない。実際に、相談者の約4割程度は、複数回以上利用しているというデータもあるという。