「エコっと白丸」は去年の秋にオープンしたばかり。トイレやWi-Fiや電源を利用できて、近くには展望台や広めの駐車場もあります。外のベンチでアイスを食べていたら、カッコいいふたり組が。神奈川から来たマークさんと埼玉から来たアントレさんです。ふたりともアメリカ生まれの30代。ちょくちょくツーリングに出かけるバイク仲間で、奥多摩は何度も訪れているとか。「日本の自然、素晴らしいです」と口をそろえます。
鳩ノ巣駅の手前に、また渓谷に降りる道がありました。歩くと揺れる吊り橋の「鳩ノ巣小橋」で楽しそうに写真を撮り合っていた女の子4人組は、都内の写真の専門学校に通うクラスメイト。「みんなで自然の写真撮りに行こうよ」と盛り上がり、交通の便がいい奥多摩を選びました。このメンバーで出かけるのは初めて。みなさん笑顔が弾けまくっていて、すごく楽しそうです。若いっていいですね。今日の奥多摩もこれからの人生も、めいっぱい楽しんでください。
サービスの多いうどん店
「鳩ノ巣小橋」から10分ほど歩いて鳩ノ巣駅へ。名残惜しいですが帰路につくとしましょう。次の電車まで30分ぐらいあります。そのあいだに、駅前の食堂「さんらく」で遅めのお昼とひとり打ち上げ。肉と玉ねぎたっぷりの肉うどん(650円)、おいしかったです! お店は85歳の山宮さん(向かって右)と妹の古賀さんが、土日のお昼だけ開いています。山宮さんは福生から、古賀さんは埼玉県の川越から通ってきているとか。「ここが実家なんですよ。駅前にお店がなくなっちゃったら寂しいから、どうにか続けてるの」(古賀さん)。
うどんの横のトウモロコシは「近所の人からもらったから」と付けてくれました。ビールのおつまみのきゅうりもサービスです。店先には、近所の農家から預かった採れたて野菜の販売コーナーも。
それにしても、今まで私は奥多摩を知らなさ過ぎました。想像以上に自然豊かで風光明媚で秘境感たっぷり。終点の奥多摩駅周辺だけでなく、手前のエリアも想像以上に人気スポットだったことにもビックリです。繁華街やビル群も東京なら、こっちも東京なんですね。「東京」という二文字を見る目が変わりました。やるなあ、東京。
写真・文/石原壮一郎