さまよった末に、たくさんの車が行き交う大きな道に出ました。あ、おいしいものを売っていそうな店があります。風にはためく「東京の森ピクルス」「奥多摩生味噌」のノボリ。中に入ると、たくさんの種類のピクルスや味噌が並んでいます。ここ「手づくり工房 四季の店」で働いて10年ぐらいという片庭由美子さんにお話を伺いました。
都心から奥多摩に移住
「お味噌は、東京都産の大豆を使って奥多摩に伝わる昔ながらの製法で作っています。発酵を止めない非加熱・酒精無添加の味噌なので、酵母が生きていて体にいいし、時間が経つにつれて色や風味が変化していく楽しみもあります。ピクルスは地元の農家から出る規格外野菜を活用できないかということで、5年前の2017年秋に誕生しました。今までに25種類ぐらい作っていて、季節ごとに売り場には常時10種類前後が並んでいます」
色つやといいツブツブ具合といい、見るからにおいしそうなお味噌です。「奥多摩生味噌」と「奥多摩麦味噌」が入った「生味噌お買い得セット」(745円)を購入。家で食べたら、どちらも口をつけた瞬間に「うわっ」と声が出るほど香り豊かでした。ピクルスも、わらび、ゆず、たけのこなど、珍しいラインナップが並びます。迷った末に「生きくらげのピクルス」(648円)をチョイス。コリコリした食感とやさしい酸味が絶妙でした。
片庭さんに「このあたりで見どころと言えば?」と尋ねたら、少し降りると渓谷があって、川沿いに遊歩道があるとか。ダムもオススメとのこと。ありがとうございます。行ってみます。ネットじゃなくて、誰かから直接教えてもらった情報って、何となく値打ちがあるような気がしますよね。ほんの30分前まで山の中を孤独にウロウロしていましたが、ようやく旅が動き始めました。
渓谷にかかる「数馬峡橋(かずまきょうばし)」から見る風景は、川の両方から深い森が迫って、かなりの迫力と美しさです。ああ、晴れていないのが残念(さっきは曇りでよかったと言ってたくせに、人間は身勝手ですね)。遊歩道を通って、隣りの鳩ノ巣駅を目指してみましょう。川面では、たくさんの人がカヌーやボートを楽しんでいます。
のんびりした足取りで30分ほど歩くと、ダムに出ました。その名も白丸ダム。「エコっと白丸」という東京都が作った「再生可能エネルギーPR館」があったので、ひと休みするとしましょう。ああ、奥多摩わさびのアイスクリームがおいしい!