区間の多くが旧東海道の国道1号は、東京の日本橋を起点にして大阪府大阪市まで続いている。
旧山陽道の国道2号は、大阪府大阪市を起点に福岡県北九州市まで。そして九州山地を西回りに迂回する国道3号は、福岡県北九州市を起点に鹿児島県鹿児島市まで続いている。

国道1号〜3号ルートは、呼び名こそ変遷しているが、明治前期に整備された初期近代日本の動脈のような道路だ。
明治新政府といえば、維新の立役者となった薩長土肥の四藩出身者が主要官職に就いた政権。
土佐藩のあった高知県は四国なので外れているものの、東京を出発して主要都市である名古屋・大阪を通過し、長州藩の山口県、肥後藩の熊本県、そして薩摩藩の鹿児島県へと至るルートがまず整備されたのは、歴史的必然だったのだろう。
車中泊最初の旅は、この初期三国道をひたすら行き、近代日本の成立に思いを馳せることに決めた。

それにこのルートを行けば、旅の途中でいろいろな人たちに会うことができる。
まず大阪には、兄の家族が暮らしている。
父の出身が北九州市なので、福岡に行けば叔父や叔母、いとこにも会える。
みんなコロナ禍がはじまってから顔を合わせていない(もっとずっと会っていない親戚もいるが)ので、こんな僕がマヌケ面をぶら下げてノコノコ訪ねて行ったとしても、きっと喜んで迎えてくれるだろう。

そして最終地点である鹿児島県の鹿児島市には、高校からの友達が単身赴任している。さらに霧島市には、後輩の編集者・ライターが移住して家を構えている。
そういう人たちを訪ね、点を結んでいくような旅ができたら、きっと楽しいだろう。

いい歳こいたおっさんがこんなこと言っても気持ち悪いだけかもしれないが、僕はやや人見知りの気があり、見知らぬ土地を一人旅しても人とうまく交われず、旅の最初から最後までずっと無言を貫くことになる可能性が大いにある。
それも虚しいので、無理矢理にでも知り合いを訪ねたかったのだ。