説明書き通りの解凍・調理がマストなわけ
――食べる瞬間まで気が抜けないとは、どういうことですか?
冷凍食品は徹底した温度管理によっておいしさをキープしておうちまでやってきます。それを「コールド・チェーン」と言いますが、まずはおうちで、そのチェーンを切らさないようにしっかりと冷凍庫に保管することが重要です。言うなれば、アイスクリームと同じ感覚で取り扱っていただきたいのです。
冷凍庫から出して、さて料理というとき、皆さんは、冷凍食品の解凍方法、解凍時間、電子レンジならワット数と時間をしっかり守って、説明書き通りに解凍していますか? どんなにこだわった冷凍食品でも、解凍・調理の仕方でおいしさが半減、もしくはそれ以下になってしまうんです。
冷凍食品のおいしさや品質を決めるものは何か?という問いに、食品冷凍学の権威、鈴木徹先生(東京海洋大学特任教授)は「システム論」を唱え、分かりやすく「1×1×1×1=1」と説明しています。
――「1×1×1×1=1」とは、どういった意味なのでしょうか?
掛け算の1は、それぞれ「素材・調理」「凍結」「貯蔵」「解凍・調理」を表しており、そのどれか一つが1以下になると、答えの「品質・おいしさ」を表す1も変わってしまうということを表しています。
消費者である我々に関係があるのは「貯蔵」「解凍・調理」ですね。つまり、おいしく食べるには私たちの最後の一手がとても重要になるということです。
――なるほど! 私、今までかなり適当に解凍していました……。
そういう方は結構多いですよね(笑)。「冷凍シューマイを買ったが、パサパサでおいしくない」という方がいました。よく聞いたらラップをかけずに温めていて、必要な水分が飛んでしまっていました。
ある食品メーカーでは電子レンジを約30台を使い、いろんな状況下での解凍を想定して商品を開発しています。誰でもおいしく食べられるよう作られて、調理方法も表示しているので、高級かどうかに関わらず、ぜひ説明書き通りに解凍・調理して味わってほしいですね。