新設の「グランスタ地下北口」はロッカーだらけ

豆知識はこのくらいにしてダンジョン散策へ出発。八重洲方面へ回るため、丸の内南口から北口に移動。北口改札前にも同じ造りのドームがあり、基本的には南口改札と構造は一緒なんです。

迷子必至。増設続きでダンジョン化が止まらない東京駅地下を歩く_8
こちら丸の内北口改札。先ほどの南口改札前との違いがおわかりでしょうか?

さっそく迷わせにきていますが、安心してください。南口と見分ける方法があります。それが八重洲口へと続く北自由通路の存在。上の写真奥の通路がそれです。誘われるようにこの通路を進みます。

ちなみに、丸の内口側から八重洲口側に改札外から渡るには、この北自由通路か、この地下を通る北地下自由通路を通るしか方法はありません。やたらと複雑な東京駅構内のくせに、そこだけはやたらシンプルなのはなぜなのでしょうか。

とにかく、北自由通路を歩いていると、その途中に地下へと降りる階段を発見。いよいよ地下ダンジョンへと潜入! ……と下っていると手すりが目に入ります。

迷子必至。増設続きでダンジョン化が止まらない東京駅地下を歩く_9

どこにでもあるごく普通の手すりですが、職人目線で見てみると、ステンレスのパイプのつなぎめ(角度が変わっている箇所)をちゃんと溶接してバフがけ(ヤスリ)してあることがわかります。企業取材をたくさんしてきた筆者にとって、利用者の手を傷つけないような、このような細やかな配慮にも感謝したくなってしまう性分なのです。

さて、地下に降りてすぐにあるのは「グランスタ地下北口」。これまでJR東京駅の改札は、「八重洲北口・中央口・南口」「八重洲地下中央口」と「丸の内北口・中央口・南口」「丸の内地下北口・中央口・南口」の計10か所でしたが、2020年8月、エキナカ商業施設「グランスタ東京」のオープンと同時に、この「グランスタ地下北口」も新設。

運営側は良かれと思ってかもしれないですが、土地勘がない人がこんな中途半端な場所から出てしまったら、迷子必至でしょう。

そして、その「グランスタ地下北口」前から左右にズラーっと並ぶのはロッカー。

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驚くのはそのロッカーの数。ざっと数えただけでも300はあったのではないでしょうか。ロッカーのメーカーは来年で創業100周年を迎える老舗のALFAさん。歴史と実績を信頼されての大量発注なのでしょう。今後、コロナが収束して増えていくだろうインバウンド客への対応という意味合いもあるはず。キャッシュレスといった現代的なシステムだけでなく、コインを使えるロッカーも用意されているのはアナログ人間にとってはありがたいところ。

しかしながら、これだけの数のロッカー。どこに入れたかわからなくなりそうです。いやそもそも、ここにロッカーを預けるのは地方から来た方が多いはずで、そんな人たちが「グランスタ地下北口」というマイナーな改札の場所を覚えていられるのか。まさに迷宮で宝探しをしているような状況になりかねないので、預ける際には場所をよく覚えておいたほうがいいでしょう。

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ロッカー通りを抜けると左手に飲食店街らしきエリアが広がります。こちらは「グランスタ八重北」。先ほど紹介した「グランスタ東京」とは別モノで、今年4月に開業したばかりのグルメスポットなんだそうです。コロナ禍だというのに開発の手をゆるめない姿勢は素晴らしいことですが、こういったことの繰り返しが東京駅をより煩雑なものへとしてしまっているのではないでしょうか。

ここには飲食街、とりわけお酒を飲めるお店がたくさんあるようで、早くもこの大迷宮にめまいをもよおしている筆者は、どこかに腰を落ち着けて一杯やりたい衝動に駆られます。しかし、まだ旅は始まったばかり。ここは我慢です。