『スイミング・プール』(2003)Swimming Pool 上映時間:1時間42分/イギリス・フランス
新作に気が乗らないイギリス人ミステリー作家サラ(シャーロット・ランプリング)が、出版社の社長ジョン(チャールズ・ダンス)の勧めで彼の南仏リュベロンの別荘へ。シーズンオフで気候も穏やか、木漏れ日や葉擦れの音が心地よい地で気難し屋のサラの筆も進むなか、ジョンの奔放な娘ジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)が現れる。
プール付きの別荘での優雅な執筆活動は、まさに近頃話題のワーケーション。穏やかな時間を掻き乱すジュリーさえも、サラに新作のアイディアを与えてくれる。
シャーロット・ランプリングとリュディヴィーヌ・サニエという、フランソワ・オゾン監督の2人のミューズのリゾートファッションの違いもお楽しみ。お気に入りカフェのスタッフのお薦めスポットとして、隣のラコスト村にあるサド侯爵の城も登場する。
『プロヴァンス物語 マルセルの夏』(1990)La gloire de mon pere 上映時間:1時間51分/フランス
フランスの国民的作家マルセル・パニョルの自伝的小説の映画化。19世紀末、9歳になったマルセイユの少年マルセル(ジュリアン・シアマーカ)は、叔父夫婦と共同で借りた南仏オーバーニュの別荘で家族揃って夏休みを過ごす。
父と叔父の猟にこっそりついて行ったり、地元の少年と友情を育んだり。ささやかな冒険もある夏の日々は、父親を“全能の存在”として愛し尊敬するマルセルの素直さとあいまって、子ども時代の幸せな記憶を鮮やかに甦らせてくれる。
別荘があるのは、プロヴァンスの空にそびえる広大な岩地ガルラバン山塊のふもと。オーバーニュで生まれたマルセルの誇らしさ溢れるナレーションとともにガルラバンが映し出される冒頭から、その勇壮さに心奪われてしまう。