子供の国語力には家庭格差が出やすい

ここではすべてを説明しきれませんので、フリースクールから名門校までもが取り組んでいる国語力をつけるための方法については、ぜひ『ルポ 誰が国語力を殺すのか』を読んでいただければと思います。

ここで一つ本質的なことを言えば、子供は9歳くらいまでに国語力をある程度身につける必要があります。心理学に「9歳の壁」という概念があるように、それ以降は培った国語力を応用して勉強なり人間関係を築いていく時期に入るためです。

それくらいまでにしっかりとした国語力をつけさせるにはどうするべきなのか。

私は国語力には「家庭格差」が非常に大きいと思っています。親が意識的に国語力を身につけさせようとしている家庭とそうでない家庭とでは、雲泥の差がでます。だからこそ、それくらいの年齢までは、外国語だのプログラミングだのと次々と新しいことをさせるより、じっくりと国語力を育ませることに注力することが重要なのです。

本書にも書きましたが、高い国語力を持っている子供は自然と学力も上がりますし、何より人間として生きる力を身につけることができます。それこそが、今の親や子供が目指すべきことではないでしょうか。

#3へつづく

文/石井光太

#1 教員の8割が感じている子供の「国語力低下」が引き起こす深刻な問題
#3 開智日本橋学園中学が取り組む「国語力」を上げるための先進的な授業

『ルポ 誰が国語力を殺すのか』(文藝春秋)
石井光太
9歳までが勝負! 家庭格差が出やすい子供の国語力を伸ばす5つの方法_2
2022年7月27日
1760円(税込)
単行本 336ページ
ISBN:978-416391575-3
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