「にじさんじ甲子園」が生み出す「勝利」の物語

にじさんじでは夏に「にじさんじ甲子園」というイベントが開催されている。ゲームの「パワフルプロ野球」で選手育成をして、育った選手同士で試合をするというもので、参加ライバーはそれぞれの高校の監督として出場する。昨年の決勝戦は275万回以上も再生されている大人気コンテンツだ。

「にじさんじ甲子園」自体は最後のリーグ戦同時視聴が一番盛り上がる。しかしこのイベントで重要なのは、監督たちが必死に育成する様子のすべてが配信で行われているということだ。

ユニークなのは最初にドラフトを行い、指名したライバーの名前を自分のチームの選手につけることができるというシステムだ。この遊び方がにじさんじ全体を巻き込み、大成功した。

にじさんじ甲子園2022 ドラフト会議【 #にじさんじ甲子園 】

ニュース速報的に練習(育成)の流れもまとめられており、毎日選手と監督たちの成長の様子を追うことができる。ゲームでの育成中、プレイ次第でいろんな事件が発生し、監督になったライバーたちは四苦八苦する。その努力や奇跡のすべてが、本戦での勝敗の物語につながっていく。試合だけ見ても楽しいが、本気で勝つための育成過程全てを見られるところに本領があるエンタメだ。

VTuberでしか観られない「友情・努力・勝利」

VTuberの見た目には、マンガのようなキャラクター性がある。生の配信内容は、ドキュメンタリーのようなリアリティがある。その両方の魅力をあわせ持った「友情・努力・勝利」のリアルタイムエンターテイメントが、VTuberの配信だ。

VTuberが起こすドラマは、生々しいがゆえに「応援をしたい」「最後まで観たい」「自分もやってみたい」「切り抜き動画にして他の人に見せたい」「起きた物語を二次創作イラストで描きたい」と多くの人に感じさせる熱量がある。その熱をファンがツイートすることで、バズが生まれる。

それらのコメントからVTuberたちはエネルギーを得て、ゲームの試合など「友情・努力・勝利」を伝えられるエンタメの努力をしようと新たな企画をする。この幸福なループが、ネットニュースなどのメディアを通じて、ファン以外の社会にも少しずつ波及してきている。


文/たまごまご

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