人生100時代に大切な3つのこと
1年前に足を怪我し、不運にも切断することになったパッチは、リアル講演中にアートを施した義足とともに、変化した足に名前をつけたことを紹介。足を失ったことについて質問した参加者には、喪失した悲しみではなく、「生まれ変わった自分への愛らしさ」を口にしました。
生きることは、「喪失の連続」であると同時に「創造の営み」でもあります。「不運であることと、不幸になることは違う」という現代を豊かに生きるためのヒントを、パッチは来場者に伝えたかったのでしょう。
そして講演中に特に印象的だったのが、孤独を原因とするいくつかの悩みを打ち明けた男性を壇上へ招き入れて、膝の上に乗せ、来場者との対話を促すシーン。男性は対話を通して「人は誰でも人の役に立てること」を体験することで、その俯きがちだった暗い表情が、別人かと思えるほど明るい笑顔へと変化。自分の人生に前向きに歩み出す男性の姿は、その場にいた他の参加者にとっても、非常に勇気付けられる貴重な瞬間だったように思います。
筆者はイベント期間中、パッチに同行し、多くの時間を共にしました。そこから見えてきた等身大の彼は、英雄として崇められることをとことん嫌い、常に他者の役に立つことを望む親切な友人でした。そして、すべての人と自然への感謝を忘れず、今を生きることを心に決めた覚悟の人でもありました。
最後に、私が本イベント、そしてパッチの言葉を通して得た、「人生100年時代」と呼ばれる現代をウェルビーイングに生きるための行動習慣を、社会医として挙げさせていただきます。
●「好き」を心の真ん中にする:好きや楽しいという感情を、意思決定時の最優先事項にする事
●「感謝」を行動で伝える:言葉の選択を悩むより、まず行動で他者に感謝を伝え続ける事
●「問い」を続けて楽しむ:答え探しをするより、問いを続けて変化する今を常に楽しむ事
人生とは「自分の認識と選択が作る物語」だと言えます。不運を不幸と解釈しないこと、自分自身を「私をよく知る一人目の友達」として愛し、孤独に陥らせないこと、そして自分を不幸にしないと心に決めることが何より大切なのだと感じました。
本イベントのアーカイブ動画を後日YouTubeにアップしますので、ぜひ皆さんも偉大な医師の言葉と行動から、現代をウェルビーイングに生きるヒントを得てみてはいかがでしょうか。
文/三宅琢