「健全な競争」を生み出せるか
最終予選、大きな重圧の中での指揮を執った森保監督には、最大限の敬意が払われるべきだ。とはいえ日本はいきなりオマーンに敗れ、中国に情けない試合で辛勝し、サウジアラビアにも敗れた。
続くオーストラリア戦で4-3-3を採用し、2-1で勝利してようやく流れを変えた。遠藤をアンカーに置くことで特に守備面を強化し、その安定によって、伊東純也を中心にしたカウンターの威力を引き出した。「いい守りがいい攻撃を作る」という戦い方を貫いたことで、なんとか本大会出場につなげたといえるだろう。
だが、その戦いに依存してはならない。
なぜなら、システム自体は劣化し、それは各ポジションの選手のレベルダウンにもつながる。戦力に恵まれているからこそ、チーム内に健全な競争を生み出すべきだ。
敵地でオーストラリアを破った試合も、決してスマートな戦いとは言えなかった。ラインが間延びし、相手にスペースを与えたことで、いたずらにカウンターを食らっていた。押し込まれ、いくつもセットプレーを与え、ファウルで取り消されたオウンゴールはかなり際どかった。もはや格下と言えるオーストリアの攻撃を許したのは、システムの綻びのせいだ。
「ワールドカップ出場という結果を出した」
それは事実である。
しかし、すでにフェーズは次に移った。「アジア」から「世界」へ。チーム内の競争をより活性化させ、真に有力な選手を起用できなければ、2010年W杯の岡田ジャパンのように“耐えに、耐え忍んで”、という以上の戦いぶりは望めない。
西野ジャパンが世界と互角に対峙した2018年のW杯から4年。日本代表が後退することは許されない。
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