戦力を「束ねる」ということ

もっとも、日本が選手を戦力として生かし切ることができたら、「世界と伍する」だけの力は持っているのだ。

世界と伍する、とは、W杯で言えばグループリーグを勝ち抜いて、ベスト16、あわよくばベスト8に入る力を指す。フランス、スペイン、ベルギー、イングランド、ブラジル、アルゼンチンなど世界トップ10の「列強」には苦しむだろうが、それ以外の国には勝機が見込めるはずだ。

「俊敏性、技術を併せ持ち、コンビネーションを使って戦える」

それが日本人選手の特徴と言われ、香川真司、内田篤人など欧州で結果を残した選手たちの共通点だった。その流れは、久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSV)、三笘薫(ユニオン・サンジロワーズ)、食野亮太郎(エストリル)、三好康児(アントワープ)、中島翔哉(ポルティモネンセ)などに受け継がれている。

過去10年間で日本人の”資源”はさらに豊富になった。冨安(アーセナル)のようにセリエA、プレミアリーグで屈強なアタッカーとパワーでも対決できるディフェンダーが登場した。MF遠藤(シュツットガルト)はブンデスリーガでデュエル勝利数リーグトップの数字を記録。GKも川島永嗣(ストラスブール)だけでなく、シュミット・ダニエル(シントトロイデン)、中村航輔(ポルティモネンセ)などが欧州クラブに所属し、DFの若手では伊藤洋輝(シュツットガルト)なども台頭しつつある。

10年前は考えられなかったが、今や欧州組だけで日本代表が作れる。森保ジャパンの主力には国内組も少なくないが、酒井、大迫、長友佑都はいずれも欧州でのプレーが長い”帰国組”だ。

では、森保監督は戦力を束ね、最大値のプレーを見せられるのか?
それが今後の議論の焦点だ。