安全のため、じっくり丁寧に作る!

──ところで、「第5のメーカー誕生」と言われるきっかけとなった型式認定(安全性に対する国の保証)の取得ですが、未取得であってもバイクは売ることができます。つまり、商売の際、必ずしも型式認定の取得は必要ではないのでは?

我々は新興メーカーなので信用がありません。そんな当社の製品に安心して乗ってもらうためには、国からの安全性のお墨付きである型式認定を取得する必要がありました。

──型式認定を取得するのは大変でしたか?

本当に大変でした。4大メーカーとは違い、当社は専門部署もなければ知識もありません。型式認定取得の申請方法を調べることからはじめ、取得まで約1年かかりましたね。

チェックは何百項目もあって、ブレーキ、ヘッドライトなどパーツごとの性能や安全性のほか、寸法や生産管理の正確性などクリアする必要があります。

書類は電話帳レベルの厚さでした。大変なのは、検査機関が車検のように1ヵ所でまとめられないので、その都度、いろんな場所に行きました。

──売れ行きはどうですか?

おかげさまで、EV三輪バイクのAAカーゴシリーズは、日本マクドナルド、DHLジャパン、ドミノピザ、日本郵政が導入してくれています。契約の関係で実数を出せませんが、工場では1日10台ほど生産しています。

──1日で10台とは、手作りでスーパーカーを作っているような感じですね……

じつは、よくある分業の流れ作業ではなく、ひとりの技術者が1台を最初から最後まで担当し組み上げているんですよ。

このやり方だと、1日10台の製造が限界なので効率は悪いですが、社員ひとりひとりが車体の製作工程を理解し、商品に対する責任感を持つためにやっています。日本に工場を構えたのも、目が届く範囲で自分たちの手で作ろうという考えがありました。

生産台数は1日10台。新興メーカーaidea社が描くEVバイクの未来_3
生産拠点である相模原市の工場