「フォトグラファー」はカメラマンと写真家のあいだ
では、フォトグラファーとはどんな写真を撮る者を指すのか。簡単に言えばカメラマンと写真家のあいだといっていいだろう。下記のように右側の丸をカメラマン、左の丸を写真家としたら、その真ん中の交わるところがフォトグラファーといえるのではないか。
フォトグラファーという呼称が日本で使われるようになったのは、ここ20年ほどのことだ。少なくとも私が20代の頃に、自らをフォトグラファーと名乗っている人に会った記憶はない。ほとんどの者がカメラマンと名乗っていた。つまり2000年代以降ということになる(本書ではフォトグラファーを「写真を撮る者」という広い意味で用いる)。
40歳を過ぎた頃、自分より10歳ほど若い人から電話がかかってきたとき、「フォトグラファーの〇〇です」と名乗ったのを聞いて、ジェネレーションギャップを感じたものだ。
いまの日本では純粋に作品だけ撮っている写真家と呼べる人は本当に少ない。海外には作品だけを撮ってそれを売買して生活している写真家が存在する(ただし、これもかなり限られている)。逆に言えば、日本は雑誌、広告などのメディアが多く、アサイメントの仕事をしつつ、一方で自分の作品を作っている者が多いのが特徴だ。両輪スタイルだ。考えようによっては恵まれた環境といえる。
私もその中に入るだろう。これはとても日本的な特徴だ。