「保有株数」と「株価」の関係

そもそも株式分割とは、文字通り1株をいくつかに分割し、発行済みの株式数を増やすことである。今回の任天堂は10分割だが、実際は2分割にするケースが多い。

理解を深めるため、任天堂の株式を100株持っていることを例に考えてみよう。まず株式分割前の資産額はこのようになる。

「保有株数」×「株価」=「自分が保有する資産額」
  100株 × 5万円 = 500万円

「株価」は毎日動いているので、この値幅で利益を出すことが株式投資の要諦と言える。また「保有株数」は自分でどんどん資金を投入して買い足さない限り増えないが、今回の任天堂のように、株式分割が実施されれば、何もしなくても保有株数が増える。

今回の任天堂の株式分割は10分割なので、もともと1株だったものが10株になり、保有株数は分割前から10倍になる。その代わり、1株500万円だった株式が10分割されるため、株価も10分の1になる。すると、理論的には株式を持っている人の資産額は何も変わらない。

「保有株数」×「株価」=「自分が保有する資産額」
  1000株 × 5000円 = 500万円

損も得もしない、これが理論な話だ。しかし、現実では株式分割前に株を持っていると含み益が生じて「利益が出る」こともある。ここに、株式分割の重要な意味が隠されている。