なぜ、病院で死ぬのは苦しいのか? 緩和ケア医が明かす「死の現場」
死そのものは本来、苦しいものではない。しかし、病院で治療を続けると、体力の限界まで「生きさせられる」から苦しいのだ。「死の現場では何が起こるのか?」を伝える1冊『家で死のう! ――緩和ケア医による「死に方」の教科書』(三五館シンンャ/フォレスト出版)から一部抜粋・再構成してお届けする。
「より良く死ぬ」ために「より良く生きる」
私の著書では、医学的に「病気とは何か?」「医療ができることは何か?」、そして誰もがやがて体験する「死の現場では具体的に何が起こるのか?」をお伝えしていく中で、みなさんがご自身や大切な人の「死」について考えるきっかけになればとも思います。
「より良く死ぬ」ためには、「より良く生きる」ことが必要です。穏やかに亡くなっていった方々の最期をお伝えすることで、そのことを感じていただければと思います。
私の考えが、終末期をどのように生きるか、人生の最終章のシナリオをどう描くのか、それを考えるための一助となることを願っています。
家で死のう! ――緩和ケア医による「死に方」の教科書
萬田緑平
2022年6月22日
1540円(税込)
単行本 240ページ
ISBN:978-4—86680-924-3
眠るように
穏やかに死ぬための本
――なぜ病院で死ぬことは苦しいのか?
なぜ、病院で死ぬのは苦しいのか?
死そのものは本来、苦しいものではありません。しかし、病院で治療を続けると、体力の限界まで「生きさせられる」から苦しいのです。
――私はこの本で、人生の最終章には、「病院で治療する」という選択肢以外にも、治療をやめて「家で生き抜く」(それはつまり「家で死ぬ」)という選択肢があることを知ってほしいと思います。
病院での治療をやめて、自宅で生きることを選んだ患者さんの最期は、病院で見られる絶望的な「死」とは異なります。私は病院医療と在宅緩和ケアの両方を見てきた立場として、こう断言します。
「終末期の患者さんは、病院での延命治療をやめて、自宅に戻ってすごしたほうが人間らしく生きられる」
前編『タバコも酒もOK!? 終末期は自宅療養のほうが幸せに生きられる理由』はこちら