「ノアの箱舟」のかけらと舟が漂着したというアララト山、「ロンギヌスの槍」とそれが保管されていたという聖なる岩窟修道院。そして、世界で最も古くにキリスト教を国教化したという歴史。
伝説といわれる「ノアの箱舟」と「ロンギヌスの槍」。そのものだけを見てもそれが本物かどうかは正直わからないが、現地を旅するなかで、そのいわれとなった様々な地理条件や歴史的背景を総合的に見ていくと、アルメニアだからこそ、この2つの伝説の遺物が現存しえたのではないかと思えてくる。
アルメニアは、海外旅行ガイドブック『地球の歩き方』シリーズでも単体での発行はなく、『ロシア』編のなかに「コーカサスの国々」として小さく掲載があるだけの、あまり知られていない小国だ。
だが、人類の誕生と成長が語られた果てしなき神話「創世紀」の舞台であり、古のキリスト教の痕跡が現在に残る世界屈指の不思議な国。まだまだたくさんの秘密が隠されているかもしれない。「世界の神秘を味わい尽くしたい!」というミステリーハンターたちはぜひ一度訪れてみてほしい。
撮影・取材・文/池田祐子
写真協力/istock