「ノアの箱舟」が漂着したアララト山

神秘! ロンギヌスの槍とノアの方舟はアルメニアに実在した1?_e
エレヴァンの街から見た小アララト(左)と大アララト(右)

アララト山はトルコとの国境に位置し、今はトルコ領だが、アルメニアの人々にとって心の故郷、日本人にとって富士山のように敬愛されている山だ。アルメニアの国章やブランデーのラベルなどにも描かれている。

首都エレヴァンからも間近に見えるが、絶景スポットとして有名なのが、アララト山を背後に臨むホルヴィラップ修道院。修道院は首都エレヴァンの南約30km、トルコ国境近くにある岩の上に建てられ、周囲にはのどかなブドウ畑が広がる。

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ホルヴィラップ修道院とアララト山

「ホルヴィラップ」とは「深い井戸(穴)」という意味。3世紀末にアルメニアでキリスト教を国教化した聖グレゴリウスが幽閉された穴が残り、そこに7世紀に礼拝堂が建てられ、その後増設された。祭壇の横の階段からは今もその穴に降りることができるが、狭くて蒸し暑く、とても人が何年も過ごせるような場所とは思えない。

伝説では、ある女性が密かにこの穴に毎朝パンを投げ入れたおかげで、聖グレゴリウスは生き延びることができたとか。その後、彼を幽閉していた当時のアルメニア統治者トゥルダト3世が重い病気にかかり、「彼を穴から出せば病気が治る」という夢のお告げにより穴から出したところ病気が完治した。この出来事がきっかけでキリスト教が受容され、301年にアルメニアが世界で初めてキリスト教を国教としたという。この教会は、世界最古のキリスト教国家誕生のきっかけとなった貴重な場所なのだ。

ホルヴィラップ教会とアララト山の組み合わせは、歴史・宗教的観点からもアルメニアの象徴的な風景といえる。

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古代から残る独特の紋様のアルメニアンクロス

アララト山は標高5137m。麓には今もノアの箱舟が埋まっているといわれ、箱舟のような形に隆起している「箱舟地形」と呼ばれる場所があり、1985年にアメリカ人研究者によって発見されたとか。この時科学的根拠は認められなかったが、その後も同様の地形の存在が指摘されており、箱舟は一隻ではなかったという説もあるそう。

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上空から見たアララト山
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アララト山と箱舟(イメージ)