5年間で13社が消滅…「赤字ではないが、利益は年々減っている」

1袋20〜40円程度で売られていることも珍しくない、もやし。炒め物や鍋料理、ラーメンの具材など幅広い料理に使われ、物価高に苦しむ家庭にとってはありがたい存在だ。

しかし、その安さを支える生産者たちが、厳しい経営環境に追い込まれている。

帝国データバンクが11月3日に発表した調査によると、2022年から2026年までの5年間に倒産・休廃業・解散したもやし製造業者は計13社に達した。2026年だけでも、10月に事業を停止した埼玉県の大手「サイキ食品」を含めて4社が市場から姿を消している。

さらに、2025年度の業績が判明したもやし製造を主力とする全国約20社のうち、約3割が最終赤字。減益となった企業を含めれば、実に65%で業績が悪化していた。

業界の縮小は今に始まったことではない。もやし生産者協会によると、全国の生産者数は2009年の235から、2026年度初めには86まで減少。17年間で約3分の1になった計算だ。

いったい、もやしの生産現場で何が起きているのか。

東日本でもやしを製造する企業の経営者に話を聞くと、苦しい経営の実情を明かしてくれた。

「この数年は利益が年々減っている状況です。会社として赤字にまではなっていませんが、以前と同じ水準の利益を確保しようと思っても、できることは限られています。売値はそれほど変わっていないのに、経費だけが上がっているんです」

庶民の食卓を支える“ライフライン”ともいえるもやし
庶民の食卓を支える“ライフライン”ともいえるもやし
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同社は創業から70年以上の歴史を持つ老舗。取締役自身も約10年間勤務しているが、現在は特に厳しい経営環境にあるという。

「数年前までは原料価格が大きく上がっていました。ここ3年ほどは人件費の上昇も大きいですね。最低賃金が毎年上がっていますから。

うちには行政が定める最低賃金で雇っている従業員はいませんが、最低賃金が上がれば、それより高い時給で働いている人たちの賃金も上げなければいけません」

もやしの主原料である緑豆の多くは輸入に頼っている。財務省の貿易統計によれば、2026年1〜8月の緑豆の輸入単価は前年同期比7.2%上昇した。

さらに、もやしは工場内で温度などを管理しながら栽培するため、電気代などのエネルギー費用も欠かせない。包装資材や物流費の上昇も、生産者の経営を圧迫している。

「エネルギー関係の費用も、値上げの通知が来れば中小企業は受け入れざるを得ません。一方で、我々は同じようには値上げできない。経費だけが増えていく構造なんです」

2026年11月には食品メーカー195社で1477品目が値上げされ、年間の値上げ品目数は2万品目を突破した。

多くの食品が値上げされるなか、なぜ、もやしは価格を上げにくいのだろうか。