AI研修で一番難しいのは、ここ
これも、よく分かる。
本社から「生成AIを積極的に活用してください」とメールが来ても、自分の仕事にどうつながるのかが分からない。営業、総務、経理、開発では、今日やらなければならない仕事が違う。
でも、隣の席の人が「この作業、AIにやらせたら10分で終わったよ」と言えば話は別だ。何を入れたのか。どこまで任せたのか。最後に何を確認したのか。その場で聞ける。
AI研修で一番難しいのは、ここなんじゃないかと思う。
同じ研修を1000人にやっても、すでに使い込んでいる人には退屈だし、初めて触る人には難しい。だから同社は全社員向けのeラーニングで、AIの仕組み、得意不得意、リスクといった基礎をそろえたうえで、現場にアンバサダーを置いた。
研修を受けることがゴールではない。他人の工夫を見たとき、「それ、自分にも使えるかも」と理解できるところまで底上げする。ここが面白い。
また、大事なポイントとして、成功例だけを見せていない。
人が読みやすいようにつくったExcelをAIに渡したら、結合セルやグラフが邪魔をして、うまく読めなかった。営業資料の説明をつくらせたら、資料に書いていない話をAIが勝手に足した。いわゆるハルシネーションである。
「使った人が下手だった」で終わらせない
こういう失敗を、「使った人が下手だった」で終わらせると、次の人がまた同じ穴に落ちる。どんな資料を渡したら失敗したのか。どこを確認すべきだったのか。そこまで残せば、失敗も会社の資産になる。
同社はAIの出力を人が確認することをガイドラインに定め、現場の活用例を社内コミュニティーで共有している。
ここでも、「この事例は営業向け」「これは総務向け」と本部が全部決めるわけではない。まず公開する。見た人が「自分の仕事にも使えそうだ」と考える。
冒頭のファイル名変更もそうだ。
銀行振込に関係がなくても、名前のばらついたファイルを手で直す部署はあるだろう。本人だけが知っていれば一人分の時短で終わる。社内に広がれば、同じ仕組みが何度も使われる。
AI活用というと、「何時間削減した」「何人分の工数を減らした」といった数字が注目される。もちろん数字は大事だ。でも、「どうやってそこにたどり着いたのか」を残さないと、次の人はまたゼロから考えることになる。
そして、ここからもう一つ問題が出てくる。













