「不動産売買の動きが完全に止まってしまった」

「不動産売買の動きが完全に止まってしまった」

湾岸エリアで不動産仲介を手掛けるA氏は肩を落とす。新たに物件を掲載しても問い合わせすら来なくなったという。実際に成約に至った件数は前年から約半減しており、「市場の急変ぶりという意味では、東日本大震災や新型コロナウイルス禍以来だ」とA氏は嘆く。

A氏の嘆きは決して大げさなものではない。日銀の利上げペースの加速を受け、不動産相場の変調が止まらない。

不動産事業者の取引データを集計している東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が発表した9月の首都圏中古マンションの成約件数は前年同月比22.7%減と、6ヶ月連続のマイナスとなった。

都区部の成約件数は30. 6%減!

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特に深刻なのが高価格帯の物件だ。埼玉県や千葉県など周辺県が7〜19%減なのに対し、東京都区部の成約件数は30.6%減と、価格が高ければ高いエリアほど、成約件数が減少している。過去数年間にわたってマンションの上昇相場を牽引してきた、湾岸タワマンをはじめとした都心の高価格帯の物件が完全に止まっているのだ。

一方、成約価格の下落は限定的だ。東京都区部の1㎡あたりの成約価格は前年同月比0.9%減と、ほぼ横ばいとなっている。また、売り出し価格にあたる「新規登録価格」は高止まりしており、売り出し価格と成約価格の差が広がった「ワニの口」状態は続いている。

これだけ市況が変化すれば大幅な値下げが狙えそうなものだが、売り手側も、無理に売り急がない傾向が強まっているという。「過去数年の急激な価格上昇によって、数千万円もの『含み益』を抱えている人のほとんどは実需で購入しているので、焦って売る必要もない」(A氏)。

仲介業者側が「もっと値下げをしないと売れない」と伝えても、離婚や転勤、買い替えといった急いで住宅を売却せざるを得ない状況を除き、応じる売主は少数派だという。