岡本真夜が憧れたドリカム
「真夜さん……もしかして、耳が聞こえてないんじゃないですか?」
指摘を受け、すぐさま専門医での精密検査を手配。検査の結果、判明したのは中低音域における聴力の低下だった。日常生活ではまったく自覚症状がなかったため、本人にとっても驚きの発見となる。
長年続いていた原因不明の歌いづらさの正体が明らかになったことで、対策の糸口が見え始める。ボーカルレッスンや音響調整を重ねることで喉の力みが抜け、本来持っていた明るさと伸びやかさが声に戻ってきた。
「まだ100%に復活してるわけではないんですけど、ここ10何年に比べたら全然歌いやすくなっていて、声質もずいぶん明るく戻ってきている。今、地道にレッスン重ねて、最善の状態でライブができるように…と思ってます」
手応えを感じながら、再び歌う喜びを噛みしめている岡本。この回復の背景には、彼女がもともと備えていたメロディメイカーとしての柔軟な素顔が深く関わっている。
「元々はピアニストになりたかったんです。ただドリカム(DREAMS COME TRUE)さんきっかけで歌の方に進んだんです」
実は、彼女が幼少期から抱いていた将来の夢は歌手ではなくピアニストだ。その人生の方向性を変えたのが、DREAMS COME TRUEの音楽との出会いである。彼らの描くポップスに感銘を受け、強い憧れを抱いたことがきっかけとなり、彼女は歌の世界へと足を踏み出した。
しかし、長年の歌手生活のなかで声の不調という大きな壁に直面した際、心の支えとなったのはやはり原点であるピアノだ。現在はmayo名義でピアニストとしての活動も行う彼女だが、歌とピアノという二つの表現の違いについて、次のように語る。
「曲を作る上で楽しいのはピアノかもしれないです。音域に制限がないから。歌だと自分が声が出せる音が決まっちゃってるので……そういった意味での自由さはピアノの方があると思います」
人間の声には、出せる音域にどうしても制限が存在する。一方で、ピアノの鍵盤においては声に比べて遥かに広い音域で、頭の中に浮かんだ音の情景を自由自在に表現することが可能だ。
一度は歌の道を退き、自由度の高いピアノの世界へシフトしようとした彼女だからこそ、声を取り戻した今、それぞれの表現が持つ魅力をより客観的に理解できるのだろう。














