「一番大切にしてきた歌声で恩返しがしたい」

10年におよぶ長い試練の時期を抜けつつある現在、彼女の心を動かしているのは、どんなに苦しい時期であってもライブに通い続けてくれたファンの存在だ。

思うような歌声が出ず、歯痒い思いを抱いていたステージであっても、変わらず会場に足を運び、温かな眼差しで見守り続けてくれたファンに感謝の気持ちでいっぱいだと話す。

「もう歌えないと思っていました。だから、歌ではもう返せないから、せめてピアノでみたいなところはあったかもしれないです」

そう思い詰め、せめてピアノの音色で感謝を伝えようと考えていた胸の内。だが、本来の歌声を取り戻し始めた今、彼女の心に宿るのは「一番大切にしてきた歌声で恩返しがしたい」という情熱だ。

「声が不調でもずっと毎回来てくださる方もたくさんいらっしゃって。それは本当にありがたいことで感謝しきれない。そういう方にね、恩返しできるようにこの先は頑張りたいなと思ってます」

つらい時期をともに過ごし、支えてくれたファンに向けて、最高の歌声を届けること。それこそが、現在の彼女にとって音楽を作り、ステージに立ち続ける最大の原動力となっている。

かつては「30周年」を一つの区切りと定め、マイクを置こうと考えていた旅路。しかし不調を乗り越えた今、その視線の先には新しい目標がしっかりと描かれている。

「30周年が終わったところで一区切りという気持ちはしてたんですけど……今は35周年をとりあえず目標にして、そこに向けて逆算して動いていこうかなって思っています」

2023年末に一度は閉鎖したファンクラブは、今年4月に再開した。

一度はあきらめかけた「歌い続けること」。10年におよぶ葛藤の夜を越え、彼女はいま、ありのままの歌声で再び温かな言葉を紡ぎ始めている。岡本真夜はこれからも自分らしいメロディとともに、35周年という新たな未来へ向けて歩みを進めていく。

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耳の不調を乗り越え、ファンへ感謝を伝えたいと話した岡本真夜(撮影/大村祐里子)
耳の不調を乗り越え、ファンへ感謝を伝えたいと話した岡本真夜(撮影/大村祐里子)
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取材・文/木原みぎわ

◆岡本真夜 Christmas concert

2026年12月11日(金)/愛知公演
2026年12月19日(土)/東京公演
2026年12月20日(日)/東京公演
2026年12月25日(金)/大阪公演

チケット受付はイープラス、ローソン、ぴあにて