応援ソングを歌うことに違和感
「デビュー前からアップ(テンポ)は苦手で、作るのも歌うのも得意ではありませんでした。だからアップになったときは違和感があって、それが大きなヒットになってしまったことが、正直、複雑でした」
1995年、シンガーソングライター岡本真夜のデビュー曲として世に出た『TOMORROW』。もともとは傷ついた友人を慰めるために紡いだミディアムバラードだ。しかしドラマタイアップの決定に伴い、楽曲は躍動感あふれるアップテンポの曲へと姿を変える。
本人の意図とは裏腹に、曲は空前の大ヒットを記録した。その年の『NHK紅白歌合戦』でメディア初出演を果たし、翌年には選抜高校野球大会の入場行進曲にも起用。瞬く間に国民的ソングへとのぼり詰めていくこととなる。
メディア露出を控えたいと考えていた新人にとって、突然の巨大なスポットライトは戸惑いそのものだった。
「メディア露出は極力しない予定でした。それがこの紅白が、メディア初出演の場になって。名前を紹介されたときは頭が真っ白になりましたね。演奏中は『もう早く終わって!』と思っていました」
反響が大きくなるにつれ、取材のたびに付いて回る「『TOMORROW』の」という大きな看板。バラードにこそ自身の本質があると感じていた彼女にとって、それは葛藤の始まりでもあった。
一時はライブのセットリストから『TOMORROW』を外そうと考えたほどの強い戸惑い。
「『自分は明るい人間じゃない』『誰かを励ませるような存在ではない』という思いがずっと消えず、未熟な自分が応援ソングを歌うことに、どこか違和感のようなものがあって」














