重度者向けホームは「入れ食い」
恵が入居者を獲得できたもう一つのポイントは、グループホームのタイプ(類型)だ。
障害者のグループホームには3つのタイプがある。最も一般的なのは「介護サービス包括型」という。グループホームの入居者約22万人(2026年1月現在)のうち、約18万人を占める。このタイプでは、入居者は基本的に日中は仕事や作業所などに通い、ホームにいるのは夕方〜翌朝までだ。
2つめのタイプは「外部サービス利用型」。これは入居者が夕方〜翌朝過ごす際、食事や入浴などの生活支援を外部の事業者に委託する。入居者は軽度の人が多く、約1万4000人。近年は減少傾向にある。
一方、右肩上がりで急激に増えているのが3つめの「日中サービス支援型」(日中型)だ。入居者は2020年度では約3200人だったが、2026年1月には7倍強の約2万4000人に増えた。恵が展開したグループホームもほとんどがこのタイプだった。
日中型は障害者の高齢化と重度化を踏まえ、厚労省が2018年度に新たに制度化した。
「障害が重くても入所施設に入るのではなく、地域社会で普通の暮らしができるように」という狙いがあった。ほか2つのタイプとの大きな違いは、入居者が日中もホームにいて支援を受けることができる点だ。つまり、障害が重いと外部への通所は難しい場合があるため、グループホームで過ごすこともできるようにした、ということだ。
激しい行動障害があったり、医療的ケアが必要だったりすると、通常のグループホームではなかなか受け入れてもらえない。そうした障害者は親と同居していることが多いが、親が高齢化すると、介助は難しくなってくる。入所施設も多数の待機者がいることが多く、重度障害者向けのグループホームは高いニーズがある。
一方、障害が重い分、支援の負担が大きいため、事業所への報酬は高めに設定されている。スキルのあるスタッフを確保したり、職員に研修して支援の質を高めたりするのにお金がかかるからだ。
恵はここに目を付けたとみられる。複数の元社員はこう話す。
「『報酬が高いから』と、支援態勢が整っていないのに、重度の人をどんどん受け入れていた」
「定員がすぐ埋まるので、ある取締役は『入れ食いだ』と言っていた」
取材・文/市川亨













