そろばん学習の低年齢化、なぜ?

「そろばんは小学生になってから習うもの」――。そんな常識が、いま変わりつつある。

「特に沖縄県では、そろばん教室が保育園や幼稚園のような役割を果たしているケースもあります。そうした教室では、3歳、4歳くらいから数遊びを始めています」

そう語るのは、全国珠算教育連盟理事長の鈴木宗一氏。

実際、こうした傾向はここ数年で見られている。全国珠算教育連盟は2024年、全国34都道府県で、そろばん教室の経営や指導に20年以上携わる現役講師286人を対象に調査を実施。

その結果、85.0%にあたる243人が、そろばんを習い始める年齢について「低年齢化している」と回答した。

実際、開始年齢は大きく変わっている。低年齢化を感じている243人に、以前と現在の開始年齢を尋ねると、「小学1年生までに習い始めている」とする割合は59.3%から99.2%へ上昇。

さらに、「未就学児(5歳以下)まで」に始める割合は27.6%から77.8%へ、実に50.2ポイントも増えた。

低年齢化する以前は、6歳(小学1年生)が31.7%、7歳(小学2年生)が30.0%と、小学校低学年から始めるのが中心だった。ところが現在は、5歳が51.9%と過半数を占める。4歳も20.2%、3歳も5.3%に上り、3歳未満から始めるケースさえある。

では、こうした低年齢化は、いつ頃から進んできたのか。

低年齢化を感じている講師に尋ねたところ、最も多かったのは「2015~2020年頃」の23.5%。次いで「2010~2015年頃」が21.4%、「2020年以降」が12.8%だった(2024年12月時点での調査)。この3つを合わせると57.7%。約6割がこの期間に低年齢化が進んだと感じている。

「10~15年くらい前から顕著になってきたと思います。たまたま私が経営している教室では年長から受け入れていますが、新入生の9割以上が年長で、次に多いのが小学1年生です。教室によってはもっと下の年齢から受け入れていますから、3歳、4歳、5歳くらいからそろばん学習を始めている子どももいます」(鈴木氏)

早くからそろばんを始める背景のひとつには、中学受験との関係もあるという。

「よくあるのは年長から始めて、小学校4年生になる年の2月まで一生懸命そろばんをやるパターンです。中学受験塾では、新学年のカリキュラムが2月から始まることが多い。そのため、小学3年生の終わりごろまでにそろばんで計算力を鍛え、そこから本格的な受験勉強へ移ります」(同)

未就学児も小学校低学年の児童も高学年の児童と一緒に授業を行なう(撮影/千駄木雄大)
未就学児も小学校低学年の児童も高学年の児童と一緒に授業を行なう(撮影/千駄木雄大)
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