逆張り戦略を打ち出した「串カツ田中」
こうした動きを牽制するのが「串カツ田中」だ。
この9月に異例の値下げを宣言した。「こだわり酒場のレモンサワー」や「こだわり酒場のタコハイ」などの酎ハイを、9月10日から税抜450円から290円に引き下げた。さらに「無限ハイボール」と銘打ってトリスのハイボールを税抜100円で提供する。
コロナ前の多くの居酒屋は、宴会客と常連客、新規客の三層構造で成り立っていた。しかし、宴会需要が失われたことで、客数のバランスが大きく崩れた。それを補うため、値上げや量を減らす実質的な値上げに踏み切る店が多かった。
「串カツ田中」は、ドリンク値下げを集客のフックにして来店頻度を高めようとする“逆張り”の施策に力を入れているように見える。
インフレ下では、低価格居酒屋が店舗網を拡大している。レモンサワーを税抜50円という圧倒的な低価格で提供する「居酒屋それゆけ!鶏ヤロー!」は、2025年の80店舗台から100店舗規模への拡大を進めている。レモンサワーを税抜80円で提供する「とりいちず」は2026年5月に100店舗を達成した。
居酒屋は低価格帯と中価格帯の色分けがはっきりしてきた。経営者たちは今後どちらのカテゴリーで勝負するかの判断が迫られるはずだ。
「個人店や小規模の運営会社でアルコールなどを安く提供するのは難しいでしょう。低単価で利益を出すには、客数を底上げする十分なキャパシティが必要だからです。必然的に、安売りは大手から中堅チェーンの施策になるはずです」
そう話すのは、都内を中心に複数の居酒屋を展開する企業のオーナーだ。居酒屋の低価格競争は大手・中堅チェーンを中心に激しさを増す可能性が高い。













