「100年の言葉を簡単に変えるつもりはない」批判との“すれ違い”

一方の高野連が見ているのは「すでに野球を知っている人」ではない。「まだ野球を知らない人」、特に子どもたちが、なにも知らずに「殺せ!」「刺せ」といった野球界で使われる言葉に触れたとき、どう感じるか。もちろん、「野球って、そういうものなんだろう」と、すんなり受け入れることができる子どももいるだろう。一方で、そうではない子もいるかもしれない。

どちらが良い・悪い、正しい・間違っている、という単純な話ではない。ただ、今回の「野球用語の見直し」が世間で言われているような単純な「言葉狩り」ではないことは、知るべきだろう。

「100年以上も使われている野球用語を簡単に『変えよう』などとは思っていません。ただ、たとえば令和の現代に日本に野球がやってきたとして、当時と同じように『殺』『刺』といった言葉に翻訳するのか……と考えたら、違う言葉もありえるんじゃないか。そうやって議論を重ねてもいいのではないか。それが、この取り組みが目指しているところなんです」

松本理事長が語るように、まずすべきは「議論」だろう。しかし、賛否の意見をぶつけ合うにはまず、事の本質を理解しなければならない。

「野球用語を見直す」――。宮城高野連の取り組みは、果たして本当に「単なる言葉狩り」なのか。今一度、立ち返ってみる必要があるように思える。

準々決勝で智弁和歌山に敗れた仙台育英ナイン(写真/共同通信社)
準々決勝で智弁和歌山に敗れた仙台育英ナイン(写真/共同通信社)
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取材・文/花田雪