クーパンが成長鈍化の日本市場に目をつけた理由
それでは、なぜ韓国のクーパンが今になって日本フードデリバリー市場に新規参入したのだろうか。これには明確な成功モデルがある。韓国でのデリバリー市場のシェア獲得だ。
クーパンは韓国で「クーパンイーツ」というデリバリーサービスを展開しているが、完全な後発組だった。転機となったのは2024年3月の無料配達だ。市場調査機関のワイズアプリ・リテールによると、無料配達をする前のクーパンイーツの月間利用者は2023年4月の328万人から2026年4月の1,316万人へ約4倍に増加した。
同じ3年間で「配達の民族(ベミン)」は約7.1%増だった。クーパンイーツはこの期間中の2024年3月26日にWow会員向け無料配達を開始している。
ここでポイントとなるのは、たとえ業績が悪化してでもシェアを拡大しようとする企業の真の狙いだ。これはロケットナウ、ウーバーイーツ、出前館ともに同じものだ。将来の重層的な配送ネットワーク構築による収益化である。
韓国のクーパンイーツはコンビニ大手と手を組み、24時間配達サービスを開始している。弁当や食品、日用品などを時間に関係なく配達できる仕組みを整えたのだ。
一方、日本のウーバーイーツは2019年の段階でローソンと手を組み、食品や日用品の配達を試験的に行なっていた。出前館は2021年にセイノーホールディングスと提携、ネットスーパーやネットコンビニの商品を届けるサービスの強化を図った。
ウーバーイーツやロケットナウ、出前館をフードデリバリーサービスと捉えると、本質を見誤ることになるだろう。停滞するこの市場で投資を重ねる意味などないに等しいからだ。
しかし、飲食店、コンビニ、スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなど重層的な配送ネットワークを構築し、買い物代行するサービスを提供すると捉えると見え方は違ってくる。
配達員を大量に確保し、ユーザーから大量の注文を受けることができれば、1回の配送密度が上がって相対的に配送コストが下がる。プラットフォーム上の取引額も増え、収益化しやすくなるわけだ。













