巨大倉庫から商品が逃げた…カザフスタンへ「疎開」か
販売業者の間では商品をワイルドベリーズの巨大倉庫から自社店舗、地域の小型倉庫、ダークストアなどに移す動きが広がっている。業界関係者からは「小さな物流拠点なら無人機側から見つけるのが難しい」との指摘も出る。
ある業者はサンクトペテルブルクやモスクワ周辺の複数の倉庫で商品を失い、新たに借りたのは約1500平方メートルの小さな倉庫だった。商品をいくつもの場所に分散させるという選択を迫られた。
モスクワ周辺では小型倉庫が不足し、業者はついにガレージ、コンテナ、半地下の物件、客の減った地方のショッピングセンターまで探し始めた。
巨大物流センターに商品を集約し、自動化によって配送効率を高めるはずだったネット通販が、無人機から逃げるため、逆に商品を細かく分散させている。
そして逃げる先は、国内だけではなくなりそうだ。
ワイルドベリーズは、ロシアと経済関係の深い中央アジアのカザフスタンでも物流網を拡大している。同国最大都市アルマトイでは10万平方メートル超の物流センターを建設中。首都アスタナでは約16万平方メートルの施設を整備し、2027年第1四半期の稼働を予定している。
ロシア紙コメルサントによると、ワイルドベリーズを運営するRWBは無人機攻撃が始まった7月以降、既に建設中の施設とは別に、カザフスタンで約10万平方メートルの空き倉庫を探し始めた。
市場関係者は、同社が「利用可能な倉庫を全て借りる」ほど積極的に物件を探していると証言。背景には、ロシア国内の物流能力の一部を無人機攻撃から守る狙いがあるとの見方を示した。
ウクライナ側が狙うドローン攻撃効果の一つ
ただ、実現は簡単ではない。
カザフスタンの優良物流施設の空室率は2025年末時点で5.8%。2026年6月末にも空いていた約13万平方メートルは各都市に分散しており、10万平方メートルを一括して借りられる物件はないという。
RWBはカザフスタンでの倉庫拡大について「長期的な物流網整備の一環」と説明しているものの、無人機攻撃を受けた措置と考えるのが自然だ。
巨大倉庫から小型倉庫へ。小型倉庫からガレージやコンテナへ。そして国境の向こうのカザフスタンへ―。ウクライナの無人機は建物を壊すだけでなく、ロシア最大級の通販会社に物流地図そのものを書き換えさせつつある。これこそ、ウクライナ側が狙う効果の一つだろう。













