ズレに気づくのは心が痛むが、メリットは莫大
私は27歳のとき、初めて講師として人前に立ちました。自分のズレを知るのは怖いものですが、講演が終わったあと、私は勇気を出して受講者にフィードバックを求めました。返ってきた言葉は、想像以上に厳しいものでした。
「堅苦しすぎる」
「軍隊みたい」
「圧が強い」などなど……
正直、悔しさと悲しさでいっぱいになりました。自分では「一生懸命に、真剣に教えられている」と思っていたからです。でも、その痛みがあったからこそ、受講者には私が「威圧的」に映っていたことがわかりました。
そのズレに気づけたことで、次の機会からは軌道修正を図ることができ、より参加者の満足度が高い講演を行えるようになったのです。
ズレに気づくことには、もうひとつ素晴らしいメリットもあります。
一度ズレに気づくと、次からはもっと敏感にズレの存在に気づけるようになることです。
最初のうちは大きなズレにしか気づきません。
でもズレに気づく習慣が身につくと、だんだんと小さなズレにも敏感になっていきます。相手の表情が曇った瞬間や、場の空気が変わった瞬間、あるいは自分の言葉が虚空へと吸い込まれていった瞬間……そこでは、自分と他者とのあいだにちょっとした認識のズレが発生しています。
そうした発生したばかりの段階でズレの存在に気づけるようになると、あなたのコミュニケーションは格段にスムーズになり、確実に周囲から「好かれる人」へと近づいていきます。
加えて言えば、気づきはまず自分から始まり、相手へ、そして場全体へと広がっていく性質があります。
自分の感情の変化に気づける人は、相手の変化にも気づけます。
相手の変化に気づける人は、場の空気にも敏感になります。
自分の内面の変化に気づけない人が、相手や場のわずかな変化に気づけるはずがないのです。
ズレに気づくことができれば、誤解はほどける。これは、私が身をもって学んだことです。あなた自身を変える必要はありません。あなたの性格や価値観も変える必要はありません。ただズレに気づいて、そのつど修正する。
それだけで、人間関係やコミュニケーションの問題は9割が勝手に解消していきます。
種明かしをすれば、あなたの職場や学校などにいる、周りから「なぜかいつも好かれる人」は、この「ズレに気づく力」を無意識に、自然に、上手に使っているケースが多いのです。
一方で、そうした才能を生まれつき持っている人以外がズレに敏感に気づくようになるには、コツや理屈を知らないとなかなかうまくできません。
逆に言えば、コツや理屈をアタマで理解して、日々の生活のなかで習慣化して実践すれば、誰でも同じように「好かれる人」「評価される人」「選ばれる人」に変わることができます。
〈これだけ〉
一度ズレに気づくことさえできれば、2回目以降はズレに気づきやすくなる。
写真/文/白石慶次 shutterstock













